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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=39

2024年9月13日

「そうか……。夢のようだ」
 何度も満足そうに頷きながら、周平は手を延して運平の手を握った。
「おめでとう」
「上塚さんが一番よろこんでくれると思って」
「よくやってくれた」
 運平はサルトリオのことを話した。自分を副支配人にしたのも、もっと日本人に入ってもらいたい希望の表明に外ならない。どんなに周平が力づけられるかと思いながら運平は力を込めて話した。
 が、周平の顔は暗くなった。三日月の淡い反射では、伏せられた視線の行方も定かでなかった。
「すると、なにか……。君は日本移民をもっと入れる役目を担わされて、支配人に昇進した、というのか」
「はい」
...

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