ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(21)
騒ぎは起こるべくして…
かくして、騒ぎは起こるべくして起きた。
最初のそれが、サンパウロ州のほぼ中央部、モジアナ線リベイロン・プレットの近く、英国人経営のファゼンダに於いてであった。熊本、広島、東京、福島、宮城、その他からの二〇七人が送り込まれていた。
住まいは、ズラリと並んだ一棟二軒の造りで、内部は三間ないし四間。どの部屋も土間で薄暗く異臭が鼻をついた。土間には、牛の糞が貼りついたまま残っていた。
労働は午前六時からであった。就労する場所が遠い場合、四時には起きる必要があった。
このファゼンダのカフェーの実の生り方は特に悪く、収穫量は懸命に働い...
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