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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=58

2024年10月12日

 運平は大声をだした。皮ゲートルに古背広姿だった。
 数日分の米と干肉と着換えを負い、腹に山刀とピストルを帯びている。「オウ!」と応えた青年たちの恰好も似たようなものだった。数人には銃を持たせてあった。ペンナ駅から北へ向って十三キロメートルの森の中にドラード河がひっそりと蛇行している。名もない小川とドラード河の合流点を起点に、小川に添って東に九キロドラード河にそって北に四キロ五百メートルの四角い森林が〝約束の土地″だった。
 冬なので、頭上の太陽はやや北に傾いている。人々は太陽に向って歩き始めた。集落というほどでもない駅前の部落を後にすると、径はたちまち細くなっ...

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