Enel=連邦政府も責任追及へ 米国台風より停電世帯多い⁈ サンパウロ市長選の政局に

【既報関連】11日夜に起きた大サンパウロ市圏での大停電は4日間が経過してもまだ解決しきれておらず、15日午前中も25万世帯が停電で苦しんでいる。電力供給を受け持つEnelに対しては、大サンパウロ市圏諸市のみならず、連邦政府も責任追及を始めている。14日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)が報じている。
アレッシャンドレ・シルヴェイラ鉱山動力相は14日、17日午前中を期限とする3日以内に、今回の大停電に対する見解書を国家電力庁(Aneel)に提出するよう、Enelに命じた。
「我々は2900人の電力の専門家、さらに2900台のトラックを増強する用意もできている」と同鉱山動力相は語っている。
同相はさらに、リカルド・ヌーネスサンパウロ市市長(民主運動・MDB)が12日に連邦政府がEnelとの間で国の事業に関する契約更新を求めているという虚報を誤って拡散したことに関し、「フェイクニュース・チャンピオンのパブロ・マルサル氏とサンパウロ市市長選を争っている内に虚報の流し方を覚えたようだ」と皮肉った上、「停電の半分以上は倒木が原因」とし、市側の緑や電線の管理のあり方を問題視した。
また、連邦政府はEnelに対し、市民に与えた損害に対する賠償請求も行う意向だ。ジョルジェ・メシアス連邦総弁護庁(AGU)長官は「今回の停電で様々な市に与えた損害に対する道義的な責任を査定する段階に入っている」と発言している。
国庫庁(CGU)のヴィニシウス・カルヴァーリョ長官も「許し難い運営状況の中、運営権をこのまま任せていられるのかという次元の問題」と語るなど、事態を重く見ている。
また、フォーリャ紙は、Enelは2020~22年に投資する予定だった6億200万レアルを使っていなかったとする、サンパウロ州検察局の調査結果も報じている。同調査は今年の1~4月に行われたものだ。Enelは昨年の11月5日にも今回とほぼ同規模の200万世帯に及ぶ大停電を起こしており、復旧に1週間を要した。
他方、サンパウロ市議会でも14日、ルナ・ザラッティーニ市議(労働者党・PT)が停電問題に関する議会調査委員会(CPI)の設置を求めた。Enelに対するCPI設置はこれが初めてではなく、サンパウロ州議会でも州内の市の電力供給契題をめぐってのCPIが以前に設置され、今年の初めに同社のサンパウロ州支部社長が2023年11月の大停電に関しての供述を求められている。
今回の停電被害に遭った世帯数は200万以上で、米国フロリダで先週16人の死者を出したハリケーン・ミルトンでの135万世帯を上回るものとなった。
また、フォーリャ紙によると、Enel本社のあるイタリアでは、ナポリ、トリノ、フィレンツェなど、Enel管轄の市の年間の平均停電時間が約1時間なのに対し、サンパウロ市の場合は6時間47分に及んでいるという。