HIV感染事件=PCS関係者6人を起訴=39項目の違反事項確認

【既報関連】リオ州ノヴァ・イグアスの民間研究所PCSラボ・サレメが行ったヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染検査で偽陰性だった臓器提供者の臓器を移植された患者6人がHIVに感染した件に関し、同州検察局がPCSの関係者6人を起訴し、全員が被告となったと22日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
検察局が起訴したのは、PCSの共同経営者のマテウス・サレス・テイシェイラ・ボンドリ・ヴィエイラ容疑者、臓器提供者はHIV感染検査で陰性だったとする文書に署名した医師で共同経営者のワルテル・ヴィエイラ容疑者、臓器提供者は陰性との書類に署名が使われた職員のジャケリネ・イリス・バルセラル・デ・アシス容疑者、検査技師のイヴァニルソン・フェルナンデス・ドス・サントス容疑者、検査技師のクレベル・デ・オリヴェイラ・サントス容疑者、HIV検査をコーディネートしていたとされるアドリアナ・ヴァルガス・ドス・アンジョス容疑者の6人だ。
14日に警察に出頭し、供述後に釈放され、検察が起訴した時点では逮捕されていなかったマテウス・ヴィエイラ容疑者は、22日に起訴されたことを受け、23日に警察に出頭し、逮捕された(23日付G1サイトなど(3)(4)参照)。
6人が起訴された理由は、組織犯罪、身体的危害、イデオロギー上の虚偽で、ジャケリネ容疑者は私的文書偽造の嫌疑もかけられている。検察が提出した起訴状は裁判所が既に受理しており、6人は被告となった。検察は6人に対する逮捕の形態を一時逮捕から予備的拘禁とすることも要請した。
検察は起訴状の中で、「被告人らは、臓器移植を受ける患者は拒絶反応を防ぐために免疫抑制剤を投与されていることや、既に脆弱な状態でHIVのような疾患に感染すれば壊滅的な影響を受けることを十分に認識していた」としている。
これに対し、PCSの弁護士は、捜査にも協力しているマテウス・ヴィエイラ氏への逮捕要請は恣意的なものと批判。州立血液学研究所(Hemorio)が行った286個のサンプルの再検査が全て陰性だったことは、誤った報告書2件は人的ミスによって引き起こされた重大なエピソードであることの証拠だ」とも述べている。
ただ、18日付G1サイト(5)によると、移植後の患者6人のHIV感染が公になる直前の4日に行われたリオ市北部ウマイタにある州立アロイジオ・デ・カストロ心臓病研究所の病院内のPCS検査室の監査では、州健康監視局の医療衛生ライセンスを持っていないことや、カウンターの汚れや虫の死骸、アリの付着、ドナーからの血液サンプルや血清学的検査キット、試薬やサンプルはアイスクリームの容器に入れられ、家庭用冷蔵庫に保管されていることなどが確認されている。
また、ドナーからの血液サンプルは検査要請書で包み、密閉蓋もないチューブに入っており、血液が漏れる可能性があった上、ドナー識別用のバーコードがないサンプルもあるなど、計39の違反事項が確認されたという。
また、国家衛生監督庁(ANVISA)は、PCSには血液検査に不可欠な検査用キットはおろか、キット購入を証明する書類の提示もなかったとし、検査を行わず、結果だけを記した文書が偽造されていた可能性があることを指摘。より詳細な調査や捜査が求められている。
検察は、PCSの経営者達は金に執着し、人の命をないがしろにしていたと非難している。