亡き飼い主待ち続けた忠誠=まるでハチ公、愛に包まれ再出発
サンパウロ州北西部アラサツーバ市の墓地で、亡き飼い主の墓のそばにおよそ10カ月もの間、静かに寄り添い続けた一匹のメスのシーズー犬の姿が、人々の胸を打った。犬は飼い主への深い思いを断ち切れぬかのように、墓所にできた小さな穴の中に身を潜め、ひたすらその場所を離れなかったという。その健気な姿は動物保護団体の目に留まり、やがて救出され、新たな家族のもとで第二の人生を歩み始めている。静まり返った墓地で飼い主を待ち続けた日々は、SNSを通じて広く共有され、多くの人々に温かな感動を届けたと、22日付G1など(1)(2)が伝えた。
犬が暮らしていたのは、市内の「レカント・ダ・パス墓地」。亡き飼い主が眠る墓の脇にできた穴をねぐらとし、長い間、そこで過ごしていた。墓地の職員が餌を与えて世話をしていたものの、見知らぬ人が近づくと強く警戒し、常に墓のそばを離れようとしなかったという。
こうした状況を受け、動物保護に取り組む非政府組織(NGO)が救出に踏み切った。作業を指揮した同団体代表のマリアナ・カラルジェ氏は、地元テレビ局「TV・TEM」の取材に対し、「時間と忍耐、そして細心の注意が必要でした」と振り返る。
犬が墓の穴に身を潜める時間帯を見計らい、2、3人がかりで網や輸送用ケージを使って慎重に包囲。外に出ている状態では捕まえることが難しかったため、墓の中にいる間に作業を進めたという。救出の際、犬は恐怖から唸り声を上げ、抵抗する様子も見せたが、最終的には無事に保護された。
救出後、犬は健康チェックを受け、環境の変化に配慮したケアが施された。里親募集はSNSを通じて行われ、その過程で、墓地で過ごしたこれまでの経緯が多くの人に知られることとなった。
その投稿に心を動かされたのが、歯科医のダニエレ・パイヴァ・ロンバルジさんだった。警察官の夫ペドロさんの理解と後押しを受け、夫妻は犬を迎え入れる決断をする。新しい名前は、「愛」を意味する「アモーラ」と名付けられた。
ダニエレさんは、「最初は犬を迎えるつもりはありませんでした。でもインスタグラムでこの子の話を知り、自然と心が動いたんです。コメントしたことがきっかけで話が進み、今では運命だったと感じています」と穏やかに語る。
ペドロさんも、「アモーラの話を聞いて、映画『Hachi(忠犬ハチ公)』を思い出しました。この子には、これからは幸せな時間を過ごしてほしいと思ったんです」と笑顔を見せる。「アモーラが家に来てから、日々の暮らしにも良い変化が生まれました」と、その存在の大きさを語った。
いま、アモーラは新しい家庭にすっかり馴染み、再び愛情に包まれた穏やかな日々を送っている。長い間、墓地で待ち続けた忠誠と静かな祈りは、ようやく温かな居場所へと結実した。









