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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=65

2024年10月24日

 それを素足で踏んだのだった。水しぶきをあげながら転倒した男の 背中にも、手にも刺がささった。
 岸から手をかして引きずり揚げると、彼は体に大きなナマヅを二匹つけて這い上ってた。刺にはノコギリのようなギザギザがついている。それを無理に引き抜くと刺のあとに血がにじんだ。外見はさほどの傷ではないが激痛を伴うのである。
 「死にそうだ。……ナマヅに刺されて死にたくない」と言って彼は泣いた。
 人々は靴をはいて水に入り、刺に注意しながらナマヅを捕った。水底を移動していると、ヌルヌルしているから、さほど能率は上らない。
 やがて、ナマヅの群は去り、刺された男の痛みも薄...

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