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トランプ効果=短期的にマイナス効果か=保護主義の影響は不可避

2024年11月7日

トランプ氏当選で生じ得る経済への影響について報じる6日付G1サイトの記事の一部
トランプ氏当選で生じ得る経済への影響について報じる6日付G1サイトの記事の一部

 米国大統領選がトランプ氏の勝利で終わり、第1期トランプ政権時の諸政策や選挙キャンペーン中の発言などから、少なくとも短期的にはブラジルにとりネガティブな影響があると見る声が出ている。
 6日付G1サイト(1)では、第2期トランプ政権では正式な書類を持たない不法移民の大量国外追放、輸入関税や補助金の引き上げが行われ、米国の公的債務増加やインフレの加速、世界的な貿易額縮小を招くと見ている。
 また、このような組み合わせは、ブラジルはドル高サイクルや第2位の貿易相手国への輸出減少の可能性に直面する準備をしなければならないことを意味し、短期的にはマイナスの影響をもたらすとしている。
 最も懸念されているのは輸入関税の引き上げで、全ての貿易相手国に対しては10~20%に、トランピストらが敵とみなしている中国製品に対しては60%に引き上げられる。また、特定の状況では100%超の追加料金が発生する可能性もある。
 これは、トランプ氏が選挙期間中、関税引き上げは米国内の生産活動を高め、雇用を創出することに繋がると主張していたからだ。
 ただ、この政策はウオール・ストリート・ジャーナル紙がエコノミスト39人に対して行った調査でも不評で、全員が反対したという。
 サンパウロ総合大学(USP)経済管理会計学部元教授でファトール銀行主任エコノミストのジョゼ・フランシスコ・デ・リマ・ゴンサルヴェス氏は、関税保護主義はインフレを招くか需要を減らすかのどちらかだと説明。トランプ氏が敵対視している中国製品の多くは米国では生産していないか生産能力が低下している品のため、これらの品に超過課税を行えば、米国の消費者はもっと多額の金を払うか、買わなくなるかのどちらかになるという。
 この場合の影響はブラジルなどでも不可避だ。需要の弾力性が低い品は関税上昇が価格に転嫁されやすく、インフレを促進するため、米国の中銀にあたる連邦準備制度理事会による金利上昇やドル高を招く。インフレ悪化で長期にわたる金利の高止まりやドル高長期化が起これば、関税引き上げと共にブラジルからの輸出減少を招き得る上、ドル高はブラジル国内の景気にも影響する。
 6日付G1サイト(2)(3)によれば、トランプ氏の勝利は民主主義擁護や環境保護、中国との関係、ウクライナや中東での紛争などの諸項目でブラジルと米国の関係に影響を与え得るが、トランプ氏もブラジルと中国の関係が強まることは嫌っており、ブラジルと距離を置くことは避けると見られている。
 6日付ヴァロール紙(4)もブラジルに対する特別な政策はないと見ているが、輸入関税の全般的な引き上げが世界の貿易量の減少や通貨切り下げ、「関税と報復のスパイラル」を引き起こす可能性には言及。選挙期間中の発言が単なる「騒音」に終わるか、実際に適用されるかもまだ不明確としている。
 なお、6日付G1サイト(5)によると、トランプ氏勝利で6日の為替は世界的なドル高に振れ、伯国でも商業ドルが5・86レアルに達し、並行ドルは6レアルも超えた。だが、午後は商業ドルも5・70レアル以下に下がった。10年物の米国債の利回りも、6日朝に4カ月ぶりの高水準となる約4・47%に上昇。市場がトランプ氏勝利を予想した先週は4・388%だった。2年物の利回りも4・31%に達した。
 6日付G1サイト(6)によると、ハダジ財相は6日朝、6日は緊張感の高まりの中で明けたが、当選後の演説はより穏やかとし、選挙キャンペーンの内容と実際に行われるであろう経済政策には距離がある可能性を示唆している。


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