COP29=温室効果ガスを67%削減=副大統領が伯国の目標発表

気候変動対策を話し合う国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11日に始まり、12日にはアルキミン副大統領が2035年までに温室効果ガス(GHG)排出量を最大で67%削減するという目標を発表したと12日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
アゼルバイジャンでの国際会議は22日まで続き、12~13日開催の首脳級会合「世界気候行動サミット」はじめ、金融やエネルギー、イノベーション、食糧などのテーマ毎に会議や展示が開かれる。主な論点は途上国への気候変動対策資金に関する新規目標設定などで、COP28で詳細事項の合意に至らなかったGHG排出削減量の国際取引に関する議論も継続される。
ブラジルからは、アルキミン副大統領やマリーナ・シルヴァ環境相らが参加しており、12日には、世界気候行動サミットでのGHG削減目標の発表と並行して、「生態学的変革への道」というテーマに基づいて、会議や対話、気候変動に対するブラジルの取り組みのプレゼンテーションを行うための、一般参加も可能なパビリオンも開設された(12日付インフォ・マネーなど(4)(5)参照)。
ブラジルは来年開かれるCOP30開催国である上、今年のG20サミット議長国でもあるため、どの位野心的な目標を持ち、どの程度の取り組みを進めているかが注目されている。
アルキミン副大統領は、2005年と比較したGHG排出量を35年までに59~67%削減するという国家決定貢献(NDC)を発表できることは誇りであり、ブラジルのNDCは非常に野心的と評価すると共に、「野心的だが実行は可能。しかし、達成するためには、適切な条件と実施手段を共に確保する必要がある」とも語った。NDCは、GHG排出量を削減し、地球温暖化を産業革命前比で摂氏2度未満に抑えることを目的としたパリ協定署名国毎の行動計画を指す。
副大統領は、ブラジルは世界最大の熱帯雨林を有し、大経済国の中で最もクリーンなエネルギー源を持つ国で、地球規模の気候問題を主導する責任と能力があると強調。「持続可能であればこそ未来があると認識し、取り組んでいる。今行動しなければ、今後はより多大なコストがかかることになる」とし、具体的な行動の緊急性も訴えた。
また、COP29の主要課題は地球温暖化を摂氏1・5度に抑えるための新たな気候変動資金目標を定義することとし、炭素市場に対する交渉妥結や、森林保全とエネルギー利用に関してCOP28で確認された約束を履行することの重要性も強調した。
11日付アジェンシア・ブラジル(6)(7)によると、今回の世界気候行動サミットは米国や欧州同盟(EU)、中国、インドなどの主要国・地域の首脳の多くが欠席している上、トランプ氏が次期米大統領に当選したことで、米国が今後も資金面での援助を継続するかが不透明など、不安材料も抱えている。
12日付アジェンシア・ブラジル(8)によると、気候変動に関する世界的権威で気候学者のカルロス・ノブレ氏は、各国がこれまでに提出した提案は不十分で、パリ協定締約国がCOP28までにGHG排出量を43%削減するという目標は未達成だし、達成できても温暖化防止には効率的ではなくなったと発言。地球の気温は産業革命前比で1・5度上昇した状態が16カ月間続いており、今後3年間この状態が続くと気温は下がらなくなるとも警告している。