G20リオ開幕、足並み乱れ=ブラジル提唱「世界同盟」発足=首脳宣言採択は微妙な情勢

【既報関連】リオ市の近代美術館で18日、ブラジルが議長国を務めるG20サミットが開幕したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。首脳会議では16日まで延長された大使や首脳らによるシェルパ会議の内容を軸とした宣言文の検討が進められているが、各国の思惑や足並みの乱れで宣言文の一部が書き変えられる可能性もあると指摘されている。

11日付G1サイトなど(2)(3)(4)によると、ブラジルが掲げてきた主要課題は気候変動との取り組み、国連などのグローバル・ガバナンス機構の改革、飢餓と貧困、格差との闘いで、各準備会合では熱心な討論が行われた。特に注目されたのはソーシャルサミットで、4万680人が登録し、1万5千人以上が参加。飢餓と貧困に対する世界同盟(Aliança Global Contra a Fome e a Pobreza)開設と参加表明国の取りまとめなど、300以上のテーマを扱った。参加者らは環境保持のための先住民居住地制定の必要性、温室効果ガス排出量を減らし、森林伐採を防ぎながら食糧生産を増やす試み、国際通貨基金や世界銀行などは富裕国に恩恵をもたらしてきたとの批判、路上生活者などについて、発題や議論を行った。
また、16日付G1サイトなど(5)(6)によると、16日にはG20サミットの宣言文草案がルーラ大統領や来年の議長国である南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領らの前で読み上げられ、形式的な承認も行った。16日付アジェンシア・ブラジルなど(7)(8)によると、ルーラ大統領は26年の任期終了までに国内の飢餓をなくすことも約束。ラマポーザ大統領も、ブラジルが始めたソーシャルサミットその他の取り組みを継続することを約束した。
17日付アジェンシア・ブラジル(9)によると、グテレス国連事務総長はアルゼンチンの外交姿勢について訊かれ、G20進展のために「合意の精神を」と呼びかけたというが、17日付G1サイト(10)は宣言文草案について、地政学や気候などの最重要課題で合意できていない点があると説明。二国間会議などを開いて19日までに調整するとしているが、ブラジルの交渉担当者達はこれらの非合意点が宣言文再討議の必要を引き起こす可能性を懸念しているという。
合意が困難な項目の一つは、ロシアによるウクライナ侵攻などの紛争問題で、17日に米国のバイデン大統領がウクライナに米国製長距離ミサイルの使用を認めた後は欧州諸国による宣言文再検討要請圧力が高まった(17日付G1サイト(11)(12)参照)。他方、社会政策や環境政策の資金確保にも繋がる超富裕層への課税問題は、アルゼンチンが反対する中でも宣言文に盛り込まれる見込みだ(17日付G1サイト(13)参照)。
18日付G1サイトなど(14)(15)によると、ルーラ大統領は18日の演説で、現在の紛争数は第2次世界大戦以降最多で、難民のような形で移動を余儀なくされている人も増えたとして紛争への投資を批判。2008年のG20初参加以降、世界情勢は悪化していると語ると共に、異常気象現象は世界各国でその壊滅的な影響を示していることや、1500万人以上の命を奪ったパンデミック以降、社会的、人種的、性的な不平等が深刻化していることも強調。
また、人類の集団的な悲劇の象徴は飢餓と貧困で、世界中の栄養失調者7億3300万人は生命や教育、発達、食糧に対する権利が日常的に侵害されていると訴えた。「飢餓は社会悪の生物的表現」で人類の大部分の排除を永続させる政治的決定の産物というブラジルの科学者の言葉を引用し、飢餓や貧困は欠乏や自然現象の結果ではないとした後、飢餓と貧困に対する世界同盟には81カ国と欧州連合(EU)とアフリカ連合(AU)の他、国際機関26、世界大の金融機関九つ、非営利&非政府団体31も参加を表明と報告。17日付G1サイトなど(16)(17)によると、世界同盟の本部はイタリアに置かれる予定で、18日中に参加国も82に増えた。
なお、18日付CNNブラジル(18)によると、初日の18日午後の会議の議題はグローバル・ガバナンスの改革についてで、夜は歓迎夕食会。気候変動や持続可能性、エネルギー転換は2日目の議題となる見込みだ。