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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=109

2025年1月15日

 米が助かったのは、幼虫にとって直立した稲は登りにくいからだった。それに低地は水もある。いつの間にか大正七年一九一八)の正月も過ぎていたのだった。幕も正月も念頭になかった。十一月の十三日にバッタが来て作物を食い、肥り、十二月に卵を産んだ。ヘトへトになって再び種をまき終ったら新年早々幼虫が這い出し、四十日はど暴れ廻ったのだった。
 コーヒーの苗を定植する時期が少し過ぎていた。二月十日には乾期用豆も蒔かなければならない。食い物もないのに、牛馬のように、いやそれよりもっと酷く働いて働いて、働かなければならないのだった。
 森を拓く、とは不思議なことだった。これほど自然...

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