site.title

小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=115

2025年1月23日

 「わしはこの植民地を閉ずる決心をした。あんたらの死を無駄にしてしまうのだ。どんなことをしても此処を成功させたかった。……しかし、もう駄目だ。雨が降らない。どうにもならんのだ。わしはこれ以上皆が苦しむのを見ておれなくなった」
 彼は土下座をした。
 「皆……許してくれ」
 涙を流しながら彼は墓標の群の一つ一つに詑びた。いつの間にか白い蝶の大群が彼をとり囲んでいた。
 森の水辺には蝶の群が棲息し、人や動物の血の塩分をしたってむらがり集まってくるからそれは珍しい現象ではないが、息もつけぬほどの蝶に囲まれて彼の視界は白く白く閉ざされた。
 彼はつかの間の白昼夢の...

会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...