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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=118

2025年1月28日

 「もう終りだよ。ジタバタせん。スペインへ行こうと夢みて日本を飛び出したわしが、ブラジルの山の中でスペイン風邪で死ぬとはな……」
 彼は低く笑ったようだった。
 山下や畑中が見舞いに来たとき、彼は言った。
 「白いものが見える……家の壁か……わしはどこかへ行っていたらしい。この植民地をもっと大きくしてくれ。もっと、もっと大きくしてくれ」
 「はい」
 「向うの森も皆で買ってくれよ。わしの夢だ。……豊かになってくれ」
 運平は目をとじた。
 「白いものがまた見える」
 放浪したい魂がスペインへ行っているのだろうか。墓標の囲りを乱舞していた蝶の群を見てい...

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