site.title

産業空洞化に逆転の兆し=産業振興庁の長官が語る

2025年2月4日

カペッリABDI長官(© Tânia Rêgo/Agência Brasil)
カペッリABDI長官(© Tânia Rêgo/Agência Brasil)

 ブラジル産業振興庁(ABDI)のリカルド・カペッリ長官が、ブラジルが1980年代から直面してきた産業の空洞化のプロセスは逆転しつつあると述べたと2日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。

ABDI(Lula Lopes/ABDI)
ABDI(Lula Lopes/ABDI)

 産業の空洞化は、レアル高による輸出製品の価格上昇や土地や人件費を含む生産コストが安い国への工場移転などで国内の製造業が衰退する現象で、雇用の減少、国や自治体の税収減少、技術の国外流出、地域経済の活力低下などを招く(22年2月14日付ニッケイ・ビジネス(2)参照)。
 工業の国内総生産(GDP)は1985年にブラジル全体のGDPの48%を記録した後、その後はその比率を下げ、2017年には21・1%まで低下。2022年は26・3%に上がったが、2023年は25・5%に再低下した。
 だが、同長官は、連邦政府が2024年1月に導入したブラジル新産業(Nova Indústria Brasil、NIB)計画で産業の空洞化が逆転し始めたとし、それを示す数字も多数あると強調。一例は24年第1~第3四半期の工業のGDPで、前年同期比で3・5%成長したという。
 同計画は連邦政府が国家産業開発評議会(CNDI)と協力して開発したもので、2026年までの資金として約3千億レの投資を予定。2033年までの活動としては、信用枠利用の他、地元のコンテンツへのインセンティブを使い、規制や知的財産活動、公共の事業や調達に関する政策を確立、炭素市場の規制などのエネルギー転換のための新戦略の枠組みも構築する。
 カペッリ氏のABDI長官就任は昨年2月22日で、同計画で始まった一連の政策はブラジル産業のシナリオを逆転させ、新たな投資を活用しているとした上で、「同庁最大の課題は伯国の資本コストを減らし、金利を下げること」とも強調し、「2桁金利では産業界への投資の維持は困難だ」とも語った。
 同長官は同計画でブラジルが成長している証拠として、自動車業界が過去10年間で最高の売上を記録し、世界一高い年15%の成長を達成したことや、2028年までの新規投資は史上最大の1800億レに上ることを例示。ブラジル食品産業協会(ABI)も24年に26年までに約1300億レの投資と発表したし、「世界の穀倉地帯と言われたブラジルが現在は世界最大の加工・工業化食品の生産、輸出国となり、世界のスーパーマーケットとなった」とも語った。
 また、鉄鋼業界が1200億レ規模、セルロース産業も1千億レ超の投資を発表したことにも触れ、各業界が発表した投資額によると、ブラジルでの新規投資は5千億レを超えたこともNIB計画の結果と強調。同計画により信用融資などの一連の構造政策の利用が可能になり、公的銀行が参加する生産増計画の産業向け融資は5040億レ超に達している。また、生産性向上計画では中小企業や中規模産業の生産性向上とデジタル変革で、競争力を高めるための対面サービスを提供しているとも語った。加速償却制度や390億レの資金提供、必要資金の所得税からの控除によって機械や設備の近代化が進んでいることにも言及している。


大統領選世論調査=ルーラが首位を維持=有力候補にグスタヴォ・リマ前の記事 大統領選世論調査=ルーラが首位を維持=有力候補にグスタヴォ・リマ下馬評通りの両院新議長=下院は史上最年少モッタ=アルコルンブレ上院復帰次の記事下馬評通りの両院新議長=下院は史上最年少モッタ=アルコルンブレ上院復帰
Loading...