閣僚交代でセントロン厚遇 不評のパジーリャは横滑り 政局調整譲り、保健相堅持

ルーラ政権が閣僚再編に着手しており、中道勢力のセントロンを取り込むために、政局調整(アルチクラソン)担当の大統領府渉外室(SRI)長官のアレッシャンドレ・パジーリャ氏(労働者党・PT)を保健相に移動させるなどの案が上がっているという。
パジーリャ氏の異動プランがあることは、ヴァロール・エコノミコ紙(1)などが報じている。SRIは連邦議会とのパイプ役となる役職で、連邦政府内でもかなり影響力のあるポストだ。
セントロン系政党は予てからパジーリャ氏のアルチクラソンの手腕に強い疑問を感じていた。
それは、昨年後半に始まり、税制改革などの重要法案の審議を控えた11、12月になっても解決しなかった議員割当金に関する内紛でさらに悪化した。議員割当金は最高裁のフラヴィオ・ジノ判事から「不透明」と判断され、透明化を図るための法案承認後も、同判事が不十分とし、払い出しが制限されている。SRIは議員割当金に関する各方面への根回しをする役割だったため、議員たちに強い不満の残る決定となったことで、不信感がさらに高まっていた。
ルーラ大統領は就任してから2年間、協力政党から不満の声が上がるたびにパジーリャ氏を擁護してきた。今回の閣僚再編でも、当初はSRIを明け渡すことはルーラ氏の計画になかったという。
だが、セントロンから突き上げをくらい、連邦政府が要求を受け入れない場合はルーラ氏の2026年の大統領選での支持が保証されない状況となったため、背に腹は変えられなくなってきているようだ。
連邦政府内の不安は、社会民主党(PSD)のジルベルト・カサビ党首が先週行った発言でより強まっている。PSDは2024年の統一地方選で市長の数を最も増やして勢いに乗る政党だが、同氏は先週、「今、大統領選を行えばルーラ氏は敗れる」と発言し、2026年大統領選での支持を白紙にする意向を示していた。
そこでルーラ大統領は、パジーリャ氏をジウマ政権時代にも務めたことがある保健相に回すことでSRIを開け、そこにセントロン勢をあてがうことを検討しているという。候補としては、イズナルド・ブリョンエス下議やレナン・カリェイロス上議(共に民主運動・MDB)、アギナルド・リベイロ下議(進歩党・PP)らの名前が挙がっているという。
保健相にパジーリャ氏を当てるという考えには、もう一つ理由がある。それは同省がセントロンが最も欲しがっているポストの一つであると同時に、絶対に譲れないポストだからだ。保健省はルーラ大統領にとって福祉関係と並んで重要な省庁で、閣僚再編があっても左派以外の政治家には譲りたくない省庁の筆頭となっている。そこにパジーリャ氏を置くことで、同省を奪われることを阻止したい意向だ。
とはいえ、ルーラ氏はこれまでも、セントロンがその座を欲しがる中、医療畑一筋で政治家としての経験のないニジア・トリンダーデ氏を常に擁護し、守ってきた。ルーラ氏は6日もニジア氏と共にリオ市に赴き、2月に対応を再開したボンスセッソ連邦病院救急病棟を訪れ、同市にある連邦病院をリオ市やリオ州の住民のために再構築するプランを擁護している。(2)
もう一つの課題はPSDに大臣職をさらに与えることで、ロドリゴ・パシェッコ前上院議長を商工開発サービス相にという案も出ているようだ。PSDは現在、鉱山動力相、農相、水産相を占めている。(3)