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国際交流基金=継承日本語の未来を考える=伊、独移民の研究事例から

2025年2月11日

講演を行ったフェルナンダ教授(左)とネイヴァ教授(右)
講演を行ったフェルナンダ教授(左)とネイヴァ教授(右)

 国際交流基金サンパウロ日本文化センター(FJSP)は1日、旧大正小学校開校110周年を記念して、日本語教育シンポジウム2025「ブラジルにおける継承語の未来を考えよう」をサンパウロ市の日本文化広報施設「ジャパンハウス」で開催した。イベントはオンライン中継もされ、政府教育関係者や日本語教師など50人以上が参加した。
 シンポジウムでは、FJSPの末永サンドラ氏によるブラジルの日本語教育の歴史や日系コミュニティの日本語教育についての発表が行われ、その後、「継承語」とは何か、ブラジルの地域コミュニティでどのように受け継がれてきたのかをテーマに、サンパウロ大学のフェルナンダ・オルターレ教授が継承イタリア語の研究事例を、マリンガ州立大学のネイヴァ・ユンギ教授が継承ドイツ語の研究事例を紹介しながら、これからの継承日本語について参加者と考察を深めた。
 イタリアやドイツの事例では、移民は様々な地域の出身者から構成されているため、どの地域の言語を中心に教育するかが課題となり、また、家庭内でのコミュニケーションを継承語で行うことで先祖の歴史を引き継ぐ取り組みが行われていることなどが紹介された。
 継承語をめぐる課題として、「言葉の混ざり合い」や、継承語を「家庭内の言語」と否定的に捉える人がいること、コミュニティの関与モチベーション不足、学習者減少が挙げられた。
 継承イタリア語教育では、コロニアの成り立ちや高齢者による話、歴史や文化、政治を含めた教材作りの工夫をしているという。
 モジ・ダス・クルーズで日本語を教えている古賀クリスチーナさんは「色んな課題が見つけられ、大きな学びとなった。移民の歴史と言語は密接に繋がっていることは日本語教師として忘れてはいけないことだと実感しました」と話した。
 FJSPやブラジル日本語センターなどのサンパウロの日本語教育関係機関は1年を通して「旧大正小学校開校110周年」にちなんだ日本語教育イベントを開催する予定。現在、サンパウロ市リベルターデ区のブラジル日本移民史料館では、旧大正小学校開校110周年記念特別展「ブラジル日本語教育のあゆみ」が行われている。


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