ブラジルの腐敗認識指数過去最悪に=180カ国中107位に転落

国際非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)が11日に発表した「2024年版世界腐敗認識指数(CPI)」で、ブラジルは34ポイント(P)を記録し、史上最も低い107位となった。この低評価の要因として、ルーラ大統領の腐敗対策に関する沈黙や、ペトロブラスに対する政治的干渉、政府高官などに関する情報公開拒否、大規模腐敗事件の未解決問題が影響していると、同日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
CPIは世界180カ国を対象に公共部門の透明度を評価したもので、12の国際機関が実施した13の調査に基づく資料に、専門家や市場の意見も反映させている。
評価は0〜100のスコアで行われ、数値が低いほど、その国の腐敗が深刻であると見なされる。
23年版でのブラジルは36Pで104位に位置していたが、24年版では34Pで107位と、順位を三つ下げた。米大陸の平均は42P、世界全体の平均は43Pで、ブラジルはいずれも大きく下回っている。
TIの報告書は、ブラジルの腐敗認識が低下した要因として、ルーラ大統領が腐敗対策に関して沈黙している点、経済活性化計画(PAC)における透明性不足や社会的監視体制の欠如、ペトロブラスに対する政治的干渉の増加が挙げられている。また、政府高官を含む人物に対する情報公開請求が個人情報保護を理由に繰り返し拒否されたことや、国家干ばつ対策局(DNOCS)で起きた、中道政党セントロンと議員による予算付けを巡る腐敗の継続も影響している。
さらに、大規模汚職事件として国際的にも知れ渡ったラヴァ・ジャット作戦で有罪とされたオデブレヒトグループからの抗告で、最高裁が証拠を無効とし、同社に関する事案を相次いで却下したことも問題視されている。加えて、収賄、入札詐欺、犯罪組織関与で、ジュセリーノ・フィーリョ氏が起訴された後も、通信相に留任していることが指摘された。
TIブラジル支部のエグゼクティブ・ディレクター、ブルーノ・ブランドン氏は、この指数が行政、司法、立法の各機関だけでなく、国全体のシステム的な状況を反映したものであることを強調。また、ブラジルが歴史的に最も低いスコアを記録し、順位も下げたことについても、状況が改善するどころか悪化していると警鐘を鳴らし、今後もこの傾向が続けば回復がますます難しくなると警告した。
さらに、国家機関内での腐敗と結びついた犯罪組織が増えていると指摘。環境問題に関しても、犯罪組織が野生動物の密輸や環境活動家への暴力行為を行うなど、その関与や活動が顕著であると報告されている。
ブラジルの順位が最も良かったのは、ジルマ・ルセフ政権時代の12年と14年で、この時は43Pで69位だった。一方、24年以前で最も悪かったのはジャイール・ボルソナロ政権下の19年で、35Pを記録し、106位だった。
CPIランキングの1位はデンマーク(90P)で、昨年に続き、トップを維持した。以下、フィンランド(88P)、シンガポール(84P)、ニュージーランド(83P)と続いた。日本は昨年から2P下げて71Pを獲得し、20位だった。
最も評価が悪かったのは南スーダンの8Pで、以下、ソマリア9P、ベネズエラ10P、シリア1Pと続いた。