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鉄鋼アルミ関税=ブラジルは代替え市場を模索=メルコスルEU協定に期待

2025年2月13日

24年、ブラジルの鉄鋼の対米輸出額は57億ドルに達した(Foto: Divulgação/ ArcelorMittal / Estadão)
24年、ブラジルの鉄鋼の対米輸出額は57億ドルに達した(Foto: Divulgação/ ArcelorMittal / Estadão)

 トランプ米大統領は10日、鉄鋼とアルミニウムの全輸入品に25%の追加関税を課す文書に署名した。米国への鉄鋼供給量が世界第2位のブラジルは、この決定で影響を受ける可能性が高い。ブラジルは米国に代わる新たな市場を探す必要があり、中国への依存度が増す可能性もあるが、中国の鉄鋼需要は減速しており、即座にそのギャップを埋めることは難しいと専門家らは指摘している。10日付CNNブラジル(1)が報じた。
 ブラジルは2024年の対米鉄鋼供給量でカナダに次ぐ第2位に位置し、その取引額は57億ドルに達した。一方、中国はブラジルにとって米国に次ぐ第2の輸出先であり、同年の取引額は12億7千万ドルだった。ブラジルの鉄鋼輸出の47・9%は米国向けで、中国向けは10・7%に止まっている。(2)
 RBインベストメンツのチーフストラテジストであるグスタヴォ・クルス氏は、関税が鋼鉄市場に与える影響は輸出減少のみではなく、他市場への転換が困難であると指摘。「ブラジルが中国市場に注力しても、その差額を埋めることは難しい。中国の需要は減速しているためだ」と説明した。
 専門家らは、鉄鋼の主原料である鉄鉱石の中国の購入量が今年は1千万〜4千万トン増加し、12億7千万トンに達すると予測。予測通りになれば、中国の鋼鉄輸入に対する需要は大幅に減り、その後数年間は需要が安定的に推移すると見込まれている。
 商工開発サービス省のデータによれば、「鋳鉄、鉄、鉄鋼」に分類される品目の中国向け輸出は、20年に21億2千万ドルの高水準に達した後、減速している。
 Ibmec大学の国際関係学教授であるマルセラ・フランゾーニ氏は、短期間での市場の多様化は難しいと指摘。「既に集中した生産構造があり、輸出先国の市場を分析すると、鋼鉄価格の下落を補う代替市場を見つけることはさらに困難だ」と説明した。
 だが、クルス氏によれば、米国市場が閉鎖的な状況の中、メルコスルと欧州連合(EU)との協定はこの「移行」を支援するために最適な手段となり得るという。「米国市場が閉鎖的であるほど、他の市場は開かれる。米国を完全に代替することはできないが、既にブラジル産鉄鋼の大規模な輸入国であるEU諸国に焦点を当てれば、輸出の吸収は可能だ」と述べた。
 もう一つの選択肢としては、米国市場におけるブラジル産鉄鋼に特別な条件を引き出すことが挙げられている。トランプ大統領は第1期政権時の19年に、鋼鉄に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を課したが、その際、ブラジルは関税回避のため、最大輸入枠を設定するように交渉し、その枠を超えなければ関税が免除される条件を得ることに成功した。
 フランゾーニ氏は、「ブラジルは市場の多様化を進めると同時に、トランプ政府と再交渉し、前回結んだような条件を再び獲得する必要がある」と指摘した。
 他方、ブラジル政府は、トランプ大統領による鉄鋼・アルミ関税措置に対し、メキシコ、カナダ、中国などの他国の反応を注視しており、報復ではなく「相互主義」に基づいた対応を検討しているという。また、ビッグテック(大手テクノロジー企業)に対して課税する報復案については、政府関係者が否定している。(3)
 フェルナンド・ハダジ財相はさらに、トランプ氏の関税措置を批判し、「このような一方的な措置は逆効果であり、国際貿易に悪影響を及ぼす」と述べ、ブラジル政府は関税措置の進展を注意深く監視すると共に、ブラジル経済に対する影響を最小限に抑えるため、対話を進める方針であることを強調した。(4)


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