駐在員リレーエッセイ=第8回=ブラジルで陽気さと向き合う日々=矢崎グループ 木村寿嘉(ひさか)
矢崎グループは1941年の創業以来、「世界とともにある企業」「社会から必要とされる企業」という社是を掲げ、自動車用ワイヤーハーネスを中核に、自動車部品、空調機器、太陽熱利用機器、ガス機器、電線など、暮らしと産業を支える製品を世界各地で展開してきました。
メルコスール地域においては、1996年に矢崎アルゼンチン有限会社を設立して以降、ブラジル、パラグアイへと事業を拡大し、現在は域内8拠点でワイヤーハーネスや自動車メーターの生産を行っています。
私は2021年、サンパウロ州内陸部に位置するタトゥイという町に着任しました。州都サンパウロから約130キロ、人口約13万人の地方都市で、日本食を含む生活インフラは大都市ほど整っていません。
駐在員にとっては不便に感じる場面も少なくありませんが、私自身、2010年から5年間、メキシコのさらに地方色の強い町で生活した経験があり、その際に培った適応力が今回も大いに役立っています。肉をしっかり食べ、某CMの「わんぱくでも良い、たくましく育ってほしい」という言葉どおり、今もなお元気に過ごしています。
着任当初の2021年は、新型コロナウイルス感染症の流行が続く最中でした。ワクチンは1回目と2回目を日本で接種しましたが、3回目以降はタトゥイの学校の体育館で、地元の人々と列に並んで接種しました。一時帰国のたびにPCR検査を受け、検査のしすぎで鼻血が出ることもありましたが、今振り返れば、これも駐在生活の一つの思い出です。
あれから4年が経ち、ブラジルという国や人々については、他の駐在員の方々と同様、非常に陽気で人懐こいという印象を強く持っています。私自身、この国がすっかり好きになりました。
ただし、その陽気さが仕事の場面では必ずしもプラスに働くとは限りません。物事が予定どおりに進まない、約束の時間が柔軟すぎると感じる場面など、戸惑うことも正直あります。「少々」「しばしば」「多々」「常に」のどれに当てはまるかは人それぞれですが、駐在員であれば一度は共感していただけるのではないでしょうか。
そんな日々の中で、私がぜひお勧めしたいのがブラジルのビーチです。燦々と降り注ぐ太陽、透き通る海、そして穏やかに流れる時間。いわゆる南国のイメージそのままの光景が広がります。タトゥイからは車で約6時間かかりますが、それでも足を運びたくなる魅力があります。
ビーチでは特別な計画を立てることもなく、ただ海を眺め、何もせずに過ごします。効率や予定に追われがちな日本の生活ではなかなか味わえない、「何もしないことの贅沢」を実感できる時間です。心身をリセットするうえで、これほど効果的な場所はそう多くありません。
ブラジル生活は決して良いことばかりではありませんが、美しい自然やおいしい食事、そして人の温かさがあります。これから赴任される方々にも、ぜひブラジルならではの時間を楽しみながら、心身ともに健康で実りある任期を過ごしていただきたいと思います。
南米に駐在している皆さんを中心に、現地に移住して企業経営などに関わっている方まで、外国体験をテーマしたエッセイを募集しています。当地に赴任して気がついた日本や現地のこと、周りの皆さんと共有したいような体験、日本の知り合いに伝えたい内容などを、ぜひお寄せください。詳細の問い合わせは編集部(contatojp@brasilnippou.com、件名「駐在員リレーエッセイ」)まで。







