Literatura
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=30
律子は溜息をついた。こういう時、要領のいい農夫は仮病を使うのだそうだ。新来の移民はそうも行かない。再...18/07/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=29
雨は大降りとなり、なかなか止みそうにない。その時、皆の頭上で何か引き裂かれるような轟音が発し、大きな...15/07/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=28
売店の壁は板張りで、二五米もあろうか。入口が四個所ついている。五区画ある分耕地から買出しにくる人びと...14/07/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=27
─―よくもこんなに伸びたものだ。この種はまた雨とともに芽吹くのだろう。そして次の種をもつ。切っても削...12/07/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=26
ジョン・デ・バーロ(アカカマド鳥)が鳴いていた。見上げると庭先の木にパン焼き窯を小さくした形の巣があ...08/07/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=25
縄煙草をくゆらせながら八代は言った。 「海興会社の宣伝文句みたいですな。が、わしにはお先真っ暗ですわ...07/07/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=24
「今頃、何をしてたんだ」 出会いざま田倉は大声を出した。見つけたことを内心喜びながらも、渋面を見せる...05/07/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=23
「おかあちゃん」 家に駆け込んだが返事がない。部屋に母はいなかった。カンテラの灯りが、ぼうっと周辺を...04/07/2023