Vagabundo
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝８５
隆夫の手紙 律子君へ また永いことご無沙汰してしまったが、元気かね。以前君から貰った手紙は、俺のお守...17/01/2024
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝８４
隆夫はカフェランディアの地理に詳しいから、町の敗戦論者で農産物仲買商の楠野某を狙うように命ぜられ、山...16/01/2024
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝８３
一週間が十日となり、一カ月過ぎても船影は見えなかった。家族を抱えての宿屋住まいには負担が大きい。南洋...13/01/2024
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝８２
山路は憤慨して、その場を去った。彼は次々と配られてくる戦勝ニュースを信じていた。同胞が抱いていた落胆...12/01/2024
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝８１
戦争勝組 その時、表の玄関から、賑やかな男たちの声が聞こえてきた。 「昨日は所用で町へ行き、昼食を松...10/01/2024
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝８０
その日は、早起きした家族が手分けして、豚を屠るための準備にかかった。半日がかりで豚は解体され適宜に加...09/01/2024
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝７９
日焼して色の黒い田倉は、酒のせいでさらに赤錆た顔になっていた。 「明日、日曜だから豚一頭やっちおうか...06/01/2024
小説＝流氓＝薄倖移民の痛恨歌＝矢嶋健介 著＝７８
田倉は晩酌をちびちびやりながら愚痴めいたことを言った。飲みすぎると家族に悪態をついたりもするが、適度...04/01/2024