《ブラジル》卵や豚肉の価格上昇は必至?=コスト高で生産者が供給削減へ

新型コロナのパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻でとうもろこしや大豆粕などの飼料高騰が続き、卵や豚肉の生産者達が過去2年間で蓄積した損失を減らすため、供給を減らし始めたと11日付現地紙、サイトが報じた。
とうもろこし価格はパンデミックが始まって以来、既に71%上昇。それに輪をかけたのがロシアによるウクライナ侵攻で、国際価格も上昇している。1俵あたりのとうもろこしの価格は2年前の倍というデータもある。
とうもろこし価格の上昇の影響は、サンパウロ州一の卵の生産地であるバストスで卵の卸価格が36%上昇している事などでも明らかだ。
豚肉の場合も、生産農家に支払われるキロあたりの価格が18%上昇しているが、豚肉は高くもなく安くもない中間製品とみなされるため、牛肉が高くなれば消費者は豚よりも鶏に流れるため、豚の生産者にとって飼料の価格上昇をそのまま価格に転嫁する事は困難だという。
だが、昨年の水・電力危機を招いた少雨・干ばつにより、とうもろこしや大豆粕が原材料の約70%を占める飼料の価格は既に高騰していた上、ウクライナ危機前から始まっていた肥料の値上がりなどで、農産物価格はさらに高騰。飼料価格も値上がりが続いている。
飼料の価格高騰は、卵や豚肉などの生産農家にとっても生産コストの上昇を意味するが、生産コストの上昇分を全て価格に転嫁すれば、買い手が付かないなどの問題も起こる。バストスの卵農家によると、30ダース入りの卵1箱の生産コストは200レアルなのに、卸価格は140レアルで、売れば売るほど損失が拡大するという悪循環に陥っているという。
卵や豚肉の供給量削減は損失拡大を少しでも回避しようという動きから出ているが、このような動きは供給量不足による消費者価格高騰も招き、購買力低下に拍車をかけかねない。