平和利用か、戦争の道具か=ロボット開発と人間の知恵

16日付のポルトガル語メディアに、ロシアで開催中の軍事見本市でバズーカ砲搭載の犬型ロボット「M―81」が公表されたとあり、息をのんだ。
犬型ロボットと聞くと、日本で開発された高齢者などに寄り添う愛玩用犬型ロボット「Aibo」や、ブラジルで実用試験中の事故リスクの高い場所の管理・監視作業に使用する犬型ロボット「Anymal」など、人を助けるための平和利用の道具というイメージがあった。
犬型ではないが、ブラジルでも顧客応対用のロボットを導入し、顧客から好評を得ている店がある。日本での東日本大震災後に原子炉建屋調査の為に使用されたロボットも平和利用の一例だ。
だが、今回注目を集めた犬型ロボットは、戦車やミサイルさえ攻撃できるバズーカ砲を搭載している。開発会社は、ロケット発射装置は紛争地域の危険物を一掃でき、パトロールや安全維持といった目的に適うように作られているという。
しかし、ウクライナに侵攻し、核兵器使用の可能性も囁かれているロシアの軍事見本市で公表されたことに、不安や懸念を感じた人も多いはずだ。
人類はこれまでも、平和的にも軍事的にも利用可能な製品を多く開発してきた。インターネットや携帯電話も本来は軍事目的で開発された。ドローン(無人機)も、農家が栽培地管理に使うなど用途が広がっている道具の一つだ。
原子力技術を爆弾に用いるか、レントゲンなどの医療機器や発電に用いるかなど、どんな方法、どんな目的で知恵や資源を使うかでその価値は大きく変わり、ともすれば人類を脅かすものともなり得る。
甘過ぎると言われても、せっかくの知恵や資源、技術は平和創出や人を助けるために用いられる事を願いたい。(み)