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大統領選=長蛇の列できた大泉投票会場=群馬県在住の日系3世・投票ルポ

2022年10月5日

 2日の大統領選の在外選挙は、日本では群馬、静岡、愛知、三重、富山、広島など104会場に分かれて実施された。うち名古屋ではボルソナロの得票率が79・2%、東京では64%など圧勝した。そのうちの群馬選挙区の大泉会場の様子を、家族と投票に行った本紙記者が以下レポートする。(編集部)

8時台ですでに長蛇の列が
8時台ですでに長蛇の列が

 2日(日)8時20分頃、群馬県桐生市に住む記者は、県内の投票会場である洋泉興業大泉文化むら(邑楽郡大泉町朝日5丁目)の目前まで来ていた。施設周辺は駐車場に入りたくても入れない車で小さな渋滞が起きていた。私たち家族4人は、今年は長野会場がない分、いつもより混雑すると予想し、早めの時間に車で出かけたつもりだったが、考える事はみな同じだったようだ。
 渋滞をどうにか迂回し、約10分後にようやく駐車する事ができた。駐車場整備係の日系人が「高齢者(両親のこと)が乗っているから」と、車椅子用に確保していたスペースを融通してくれた。駐車できて安心な2世の父母とは対照的に、日本育ち3世の妹は「車椅子でもないのに大袈裟な」と絶句していた。家族で出かけると大抵、親と子でカルチャーギャップが出てくる。
 投票は割り振られた整理番号の列に並んで行うようになっている。4人のうち妹だけが別の整理番号で投票場所は1階だった。父母と私は2階の展示ホールでの投票となった。私たち3人が並ぶ整理列はすでに長蛇の列で、会場入り口に並んでから20分くらいは進む事がなかった。
 案内係曰く「投票会場内は列がいっぱいで中に案内ができない」という。それを聞いた父は「そうだよ、待っている列は(外に)いっぱいだよ」と延々ボヤいていた。母も後から来た知り合いの方が先に入って行きそうでやきもきしている。
 この間、私は父方の叔母がよく言っていた言葉が脳裏に浮かんでいた「健康の為に1日20分くらいは陽にあたってビタミンDを作った方がいいわよ」――
 9時。たっぷりビタミンDが生成された頃、全く動かない整理列に痺れを切らした父が交渉へ向かった。会場の展示ホール内は思っていたより「人がいっぱい」ではないように感じた。屋内で人が密集しないための配慮なのかもしれない。
 会場観察中に父母の交渉は成立し、「高齢者とその付き添い」として投票させてもらえることに。父母と同年代くらいの人が通常の列に並んでおり、申し訳なさでいっぱいになる私。最奥に投票用の機械が1台あり、その前に投票の受付係3人ほどが確認作業や署名のお願いにあたっている。外の待ち時間が嘘のように投票はあっという間に終了した。
 一方、別会場で投票の妹が終了したのは9時45分ごろ。屋内にはすぐに入れたものの、中の整理列が長かったようだ。思えば、以前の投票でも私だけが別の会場で投票だったので家族全員がまとまらないような仕組みにしているのかもしれない。家族などで来ても結局は誰かを待たないといけないので、中々駐車場が空かないのは当然だ。
 妹を待つ間、投票に来ている人に目を向けていた。中高年以降はやはりポ語での会話が中心となるようだが、20〜30代の日系人は若者同士なら日本語で会話する姿も散見された。
 特に若者は二面性が伺える事が多かった。ゲームか漫画の話をしていたかと思えば「こうなって欲しいから」と投票理由を話す青年や、家族にはポ語で話しつつ仕事先であろう電話には流暢な敬語で応答する乳児連れの男性も見かけられた。これまで年代の近い日系人と関わる機会が少なかったので、投票を通して若手日系人の様々な面を垣間見る場ともなった。

 


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