ルーラ、大統領府内の軍影響力減へ=諜報機関を軍管理外に検討=大統領警備も別部署移管か

ルーラ次期大統領(労働者党・PT)陣営は、ボルソナロ大統領が強い影響力を持つ「大統領府安全保障室(GSI)」の機能を骨抜きにするため、その傘下の情報機関「ブラジル情報庁(Abin)」を別機関の傘下へ移管しようとしていると、5、6日付現地紙、サイトが報じている。
現在のGSI長官はボルソナロ大統領に最も忠実な陸軍大将のひとり、アウグスト・エレーノ氏だ。同氏はルーラ氏の大統領当選後、「残念だが(ルーラ氏は)病気ではない」と強い反感を示すなど、対立ムードを生んでいる。
また、Abin前長官のアレッシャンドレ・ラマジェン氏はボルソナロ一家と年末を共にするほど懇意で、ボルソナロ氏から自身の息子たちに捜査が及ばないように連邦警察長官に指名されたと疑われており、事実、最高裁から指名を却下されたこともある。
こうした経緯から、ルーラ氏は来年1月1日の大統領就任式にGSIに警備を任せることに難色を示している。
ルーラ陣営は、ボルソナロ氏が軍と接近したことで、世が政治的に二分化した状況となり、GSIに頼ることが不可能になっていると判断。また、情報機関が軍の傘下に置かれるのは軍事独裁政権の名残であり、他の国の基準だと時代遅れという判断も行っている。
そこで現在、AbinをGSIから切り離し、別の部署に移管させることが検討され始めている。一つの案として、大統領府戦略問題担当局(SAE)の傘下にすることがあげられている。SAE長官には、ルーラ政権で外相、ジウマ政権で国防相を務めたセルソ・アモリン氏の就任が有力視されている。
フォーリャ紙によると、Abinの移管に関してはAbinの局員たちからも支持の声が出ているといい、その点でもルーラ氏側に有利となっている。
また、大統領の警備担当に関しても移行が進行している。政権移行スタッフは既に、大統領選の際に警備を担当した連邦警察のアンドレイ・アウグスト・パッソス・ロドリゲス氏をスタッフの一人として迎えいれている。この他にも既に連邦警察官4人が警備を任されているとの情報があるが、ヴラジミール・デ・パウラ・ブリット氏以外の名前は明らかにされていない。
ただ、GSIを骨抜きにするというアイデアは、政権移行スタッフの総意ではないことも事実だ。一部のスタッフの間では、GSI長官には予備役の元陸軍大将ゴンサルヴェス・ジアス(通称Gジアス)氏を据えるべきとの意見が出ている。Gジアス氏は、ルーラ政権期とジウマ政権期にPTの護衛を担当しており、ルーラ氏、軍とはともに、良好な関係を築いている。
GSIの長官は軍人が務めなければならないという規定はない。だが、伝統的に、大統領府内にあり、軍人が指揮する部署とされている。
これらの件も含め、ルーラ氏側はこのところ、頻繁に軍との交渉を続けている。軍の側は、ルーラ氏が次期国防相に予定しているジョゼ・ムシオ・モンテイロ氏に好感を示すなどしていると報じられている。