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仏王室時計破壊犯を逮捕=世界に2点だけ修復困難

2023年1月25日

大統領府の防犯カメラに残っていた映像の一部(Reprodução/ Palácio do Planalto)
大統領府の防犯カメラに残っていた映像の一部(Reprodução/ Palácio do Planalto)

 【既報関連】ミナス州ウベルランジアで23日、8日にブラジリアで起きた三権中枢施設襲撃事件で、大統領府に展示されていたジョアン6世の時計を破壊した容疑者が逮捕されたと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 連邦警察が逮捕したのはアントニオ・クラウジオ・アルヴェス・フェレイラ容疑者(30)だ。同容疑者が8日に大統領府に侵入し、3階に飾ってあったジョアン6世の時計を破壊した瞬間や現場にあった消化器を使って防犯カメラを壊そうとした様子などは防犯カメラに録画されている。
 連警は一連の侵入・破壊行為を調べ、容疑者の特定作業を続けていた。8日に起きた暴挙は、法治国家における民主主義の暴力的廃止、クーデター、明確な破壊行為、犯罪組織の形成、犯罪扇動、特別に保護された財産の破壊及び劣化または破壊といった罪状に問われている。
 フェレイラ容疑者が破壊したジョアン6世の時計は金のブロンズ製で、17世紀にフランスのルイ14世の宮廷家具師のアンドレ・シャルル・ブールがデザインし、やはりルイ14世の時計職人だったバルタザール・マルティノが製造した由緒ある作品だ。
 この時計はフランス王室がドン・ジョアン6世に贈った後、1808年にジョアン6世自身の手でブラジルに運ばれ、以後、ずっとブラジル国内で受け継がれてきた。バルタザール・マルティノの作品で現存しているものは、今回破壊された時計とフランスのベルサイユ宮殿に展示されているものの2点のみで、そういう意味でも貴重な品だったが、8日に起きた破壊行為で被害を受けた品の中でも、修復が困難とみられる品の一つだ。
 フェレイラ容疑者は24日にブラジリアに移され、取り調べを受けたが、黙秘権を行使したという。
 同容疑者はゴイアス州カタロン在住だが、逮捕されたのは約100キロ離れたウベルランジアだった。同容疑者が逮捕された事は、ウベルランジアとゴイアス州ゴイアニアの連警が明らかにした。
 同容疑者が借りていた家の家主によると、同容疑者は昨年の11月以降、頻繁にブラジリアに出向いており、家賃の支払も滞っていたという。
 借家の入り口にはブラジルの国旗が飾られており、車庫の扉の上部にはボルソナロ前大統領の写真や番号入りの選挙キャンペーン用の写真が貼られている。同じ敷地に住み、容疑者の家にも出入りできるという男性によると、同容疑者は大統領府での破壊行為の翌日から所在不明となっており、自宅には聖書とナイフ、前大統領の名前が入った帽子や衣類、炊飯後で食べるばかりの米が入った鍋などが残されていた。同容疑者がソファの上に残していったノートには、電子投票機に関する虚報を流していたサイトのアドレスなども書かれていたという。
 また、同容疑者を知る人達は、彼がボルソナロ氏を支援する動画付きメッセージや、ブラジリアの陸軍本部前でのキャンプの様子を写したビデオを頻繁に流していた事も認めている。


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