岡島博さんが死去=カスタニャールの実業家

パラー州カスタニャール市を拠点に胡椒(ピメンタ)や高級木材マホガニー(モギノ)等の生産販売活動をしていた実業家の岡島博(おかじま・ひろし)さんが5日午後6時半、呼吸不全のためベレン市内のポルトガル福祉病院(Hospital da Beneficiencia Portuguesa de Belém)で亡くなった。行年81歳。群馬県前橋市出身。
岡島さんは1954年、12歳の時に家族とともに「あめりか丸」で渡伯。パラー州サンタイザベルの大橋耕地に入植した。その後、南伯農協(スール・ブラジル)組合員としてメロンや、ハワイマモン(パパイヤ)の栽培にも着手してアマゾン地域の振興に貢献したほか、サンパウロ市にも大量に出荷した。
また、岡島農商事有限会社代表取締役を務める傍ら、植林事業の大切さを唱えて実行。北伯群馬県人会会長時代に、アマゾンの環境保全の拠点として540ヘクタールの原生林「群馬の森」をベレン市近郊に創設して運営・管理してきた。
さらに、ベレン市から約300キロ離れたパラゴ・ミナスの農園ではマホガニー2万本の大規模植林事業を行ったり、森林農法(アグロフォレストリー)を利用した混植でチョコレートの原料となるカカオ等も栽培。胡椒生産では中南米だけでなく、東南アジア諸国にも自ら足を運んで情報を得るなど、常に積極的な農業経営を実践してきた。
1999年、パラー州政府から「グラン・パラー勲章コメンダドール称号」を受章。2012年には日本政府から外務大臣表彰を受賞したほか、翌13年にはブラジルの農業貢献者に贈られる「山本喜誉司賞」も受賞している。
友人の話によると岡島さんは晩年に前立腺ガンを患い、昨年は術後の感染症も発症するなど自身で歩くのもままならない状態となっていた。しかし、それまでは見聞を広めるために家族や親せきとともにカスタニャールから約3千キロ離れたサンパウロ市まで自家用車で何度も往復し、前向きな活動を続けていた。
葬儀は6日午後2時半からカスタニャール日伯協会会館で行われ、遺体は午後4時に同市内のサンフランシスコ墓地に埋葬された。