通信省=郵便局と協同でチップ提供=ロライマ州での通信支援のため

通信省が10日、郵便局と共同で、携帯電話チップ1千個を提供すると発表した。これらのチップは、ロライマ州のヤノマミ族居住地で人道支援や社会福祉関連の仕事をしている人同士の通信を容易にするためだと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
携帯電話はインターネットへのアクセスを可能とするため、先住民のための医療や社会福祉関連の仕事をする人達が連絡を取り合うために必要な通信手段を提供することになる。通信省によると、これらのチップはヤノマミ族の公衆衛生上の支援体制不在に対する国全体のコーディネート担当委員会に手渡される。
また、ジュセリノ・フィーリョ通信相は9日、ロライマ州のヤノマミ族居住地にモバイル衛星ブロードバンド接続用のアンテナが17基設置されたと発表している。これらのアンテナも先住員のための医療上の対応支援用に使われる。
ヤノマミ族は現在、不法採掘拡大による人道上の危機に直面しており、それに付随した衛生上、環境上の問題も深刻化している。
具体的には、マラリアや肺炎といった病気の蔓延と栄養失調が同族を苛ませている。2020年の場合、ヤノマミ族の乳児(生後1年未満の子供)死亡率は実際に生まれた子供1千人あたり114・3人で、ブラジル全体の乳児死亡率の約10倍だ。
この数字は、世界で最も貧しく、最も乳児死亡率が高かったアフリカ諸国のシエラレオネと中央アフリカ共和国を上回っている。同年のシラネオネの死亡率は出生数1千人あたり80・5人、中央アフリカ共和国では77人だった。

1月15~25日にまとめられたヤノマミ族の実態調査の報告書「ミッソン・ヤノマミ」によると、2018~22年に死亡した乳児の約60%は新生児が占めており、周産期のケアが不十分であることなどを示している。報告書によると、乳児が死亡した場合の主要原因の一つは栄養失調だったという。
栄養学博士でペルナンブコ連邦大学退任教授のソニア・ルセナ氏によると、栄養失調は子供の免疫力を極度に低下させるという。栄養失調だと重度の呼吸器疾患を起こしやすく、肺炎に至る事もしばしばあるが、免疫力が低下した子供の場合は自分を守る術がなく、回復も困難なために、命取りになる事も多い。また、栄養失調が乳児や幼児の脳の成長を妨げた場合は回復が不可能だという。
ヤノマミ族の健康状態に関するデータを見ると、低体重は2015年から指摘されており、2021年の場合は56・5%の子供が低体重と指摘されている。また、2022年の調査では、栄養失調のため、適正体重を大幅に下回っている妊婦が約半数いた事が明らかになっている。