女性専門署は24時間対応に=専用ダイヤル180も拡大

ルーラ大統領が、女性支援専門警察署(Deam)は24時間対応とし、犠牲者女性の受け入れは専用の部屋で行い、できれば女性警官が応対することを定めた法令を裁可し、4日付連邦官報に掲載したと4日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
家庭内暴力などの犠牲者の女性に24時間対応を保証する法令はロドリゴ・クーニャ上議が2020年に提案し、3月初めに上院が承認した。法令では女性専門署の警官は適切な訓練を受けるべきことや、家庭内暴力の犠牲者の女性への雇用促進なども定めている。
女性専門署第1号は1985年にサンパウロ市で開設され、ペルナンブコ州がそれに続いた。今回のは連邦法令だが、現実に女性専門署を管轄するのは州政府であり、地域格差が大きい。具体的に見ると、サンパウロ市やブラジリアのように24時間対応の専門署が複数ある市もあるが、アラゴアス州では三つの専門署中一つ、トカンチンス州では14カ所中ゼロなどとなっている。
また、犠牲者女性が専用の部屋で女性警官による応対を受けるのも容易ではない。それは専門署や訓練を受けた警官の数が不十分だからで、女性専門署や訓練された警官の不足などから、新たな法令が絵に描いた餅に終わる可能性を懸念する声も出ている。
他方、オズワルド・クルス財団と北大河連邦大学、リオ連邦大学などの共同研究によると、女性殺人の発生率は、1980~84年の4・40人/10万人が2015~19年には6・09人/10万人にと31・46%増えているなど、セクシャルハラスメントその他の性的尊厳や性的暴力に対する犯罪防止への闘いは急務だ。
具体的な統計は明らかにされていないが、コロナ禍で女性殺人が増えたこともあり、連邦議会では3月に女性殺人で親を失った子供への養育手当支給案が審議された。3月15日付G1サイト(5)によると、3月15日には上院が公的機関におけるセクハラの防止と抑制のための暫定令も承認している。
他方、4日付アジェンシア・ブラジル(6)によると、この日は専門署がなくても家庭内暴力などを告発できる女性専用ダイヤル180がワッツアップでの対応も始めている。180は2019年に人権省管轄の専用ダイヤル100から分離したもので、肉体的、精神的、道徳的、経済的な暴力で悩んでいる女性やそれを見聞きした人は、電話やワッツアップで告発することや支援網を見出すことができる。