「先住民族の日」に思う=改称に見る違いの認識

4月19日は「先住民族の日」だ。これまでは「先住民の日(Dia do Índio)」だったが、昨年発効の法令により、今年から「先住民族の日(Dia dos Povos Indígenas)」に改称された。サンパウロ市やリオ市の博物館、美術館では、初回の「先住民族の日」となった昨日を中心に、先住民文化の紹介や先住民芸術家の作品展示が行われている。
「先住民の日」は、植民地化から近年の集団虐殺(ジェノサイド)まで続く先住民族の生存のための闘争を記念する日として制定された。
先住民族の多様性は言語や文化、非先住民族との共存期間など、様々な形で区分認知されている。
改称はインディオという単数系呼称では、先住民族の多様性や闘いの歴史を表現出来ていないとの主張を考慮して行われた。
また、インディオという言葉には、ブラジルを植民地化した人々が持っていた「先住民は欧米人より遅れており、皆同じ」という印象が含まれているという。これは、様々な違いを持つ先住民族を十羽一絡げにし、独自性を否定する考えだ。
一方で、インディジェナという言葉には「各自が住んでいる土地の出身者」という意味があり、各部族が独自の存在であることを示す上、複数表記だ。言い換えれば、「先住民族の日」は各々の土地で暮らす部族の独自性を認め、その存在、その歴史を尊重した名称ということになる。
ブラジルを植民地にしようとした人々にとり、国内各地に住んでいた先住民族は、征服し、従わせるべき人々で、火器や経済力などをもってすれば土地や資源も自由にできると思ったのかもしれないが、現在は共存、共生するべき時代であり、互いを尊重し、違いを認める必要がある。
実際、先住民居住地は豊かな森林が空気を浄化してくれるため、周辺地域では呼吸器系疾患の発生が抑えられているという研究結果が発表された。これに対して、環境開発などによる乾燥化や焼き畑による森林火災が多発する地域では、呼吸器疾患の患者が多く、その他の病気発生率も高いという。
今年1月に保健衛生上の緊急事態宣言が出され、世界中の注目を集めたロライマ州のヤノマミ族は、今も不法採掘者らの影に怯え、平穏な日々を取り戻すことに必死だ。他者を自分達より劣ると考え、その命や生活、居住地や資産、資源まで奪う歴史に終止符を打ち、他者から学ぶ必要性や、多様性が持つ豊かさなどを初回「先住民族の日」は教えてくれている。(み)