虚報対策法案、今週審議へ=世間からの圧力に押され=プラットフフォームにも罰則か

1月8日の三権中枢施設襲撃事件や相次ぐ学校襲撃事件後に問題意識が高まったことで、下院でのフェイクニュース規制法案成立への圧力が強まり、今週中に投票の見込みとなっている。同法案の審議では、「表現の自由」との兼ね合いがどうなるかが注目されている。25日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
この法案は元々、アレッサンドロ・ヴィエイラ上議(民主社会党・PSDB)が2020年に提出したもので、ルーラ政権や、最高裁のフェイクニュース捜査(現在はネット犯罪捜査)を担当し、選挙高裁長官でもあるアレッシャンドレ・デ・モラエス判事の意向も盛り込まれるとみられている。
下院での「法案2630/2020号(PL2630/2020)」の審議は、オルランド・シウヴァ下議(ブラジル共産党・PCdoB)を報告官として進められる。
同法案は、昨年の大統領選で大量の虚報が拡散されて問題となったことや、3〜4月に起きた学校襲撃事件の後、犯人の素性や襲撃の可能性に関する虚報が流されたことで生徒や親が混乱したことなどを受け、早急に制定されることを望む声が高まっている。
フォーリャ紙はPL2630/2020の特徴を5点指摘している。それらは「虚報を流したアカウントの凍結義務」「透明性を図るための3カ月毎の報告義務」「インターネットの透明性と責任に関する評議会結成」「評議会によって承認された自主規制機関を設立する可能性」「法令を破った時はプラットフォームの伯国支社に収益の10%までの罰金を科す」だ。
これに対し、フェイスブックやインスタグラムを運営するメタ社やツイッター、TikTokといったプラットフォームは、「第3者の言動を取り締まる難しさ」や「個人の表現の自由を奪うことになる」として、PL2630/2020の緊急審議に反対し、特別委員会を設置することを求めている。また、ジルソン・マルケス下議(ノーヴォ)のように、この件で懸念を示す議員も少なくない。
一方、オルランド下議は「規則を守らなければ、プラットフォームに対しても容赦ない罰則を次々と科すこともあり得る」と話している。同下議はまた、「連邦議員の不逮捕特権はネット上の発言にも及び得る」としながらも、「だが、それは犯罪行為を隠蔽して良いということとは異なる」とも語っている。これはモラエス最高裁判事が語った「表現の自由とは暴力や犯罪の自由ではない」との発言を踏襲したものだ。
今週に入り、ビア・キシス下議(自由党・PL)らをはじめとしたボルソナロ前大統領派、保守派の議員らがPL2630/2020を「検閲法案」として審議の取りやめを求める運動を起こしている。キシス下議やフラヴィオ・ボルソナロ上議(PL)は最高裁のフェイクニュース捜査の対象者で、選挙高裁からも虚報拡大で罰金と掲載内容の削除を命じられている。