選挙高裁=総意でデルタン下議罷免=州最多得票のLJ元主任=「政治的報復」と強く反発

選挙高裁は16日、元パラナ州連邦検察のラヴァ・ジャット作戦主任だったデルタン・ダラグノル下議(ポデモス)を、出馬登録無効化により、下議罷免とした。判事投票は満場一致で、一時はブラジルの汚職対策の象徴のようにも謳われた同氏が、連邦議会を追われる危機に立たされた。17日付UOLサイト(1)(2)(3)などが報じている。
出馬登録無効化と当選取り消しに至った発端は、ルーラ大統領の労働者党(PT)を中心とした3党のシャッパと国家動員党(PMN)による二つの訴えだった。両者は各々、デルタン氏が国家検察審議会での審理の最中だった2021年11月に突然、連邦検察官を辞職し、下議選に出馬したことを選挙法違反として訴えたものだ。
デルタン氏は検察官時代の態度を問われ、15件の内部訴訟を受け、国家検察審議会での審理を受けていた。これらの訴訟は2019年のヴァザ・ジャット報道で嫌疑が浮上した、ラヴァ・ジャット担当判事だったセルジオ・モロ氏との癒着問題などを契機に起きたものだ。また、連邦会計検査院(TCU)でも、後日発覚したLJ主任時代の日当の不正利用などで訴えられていた。
原告側は、デルタン氏が国家検察審議会やTCUで有罪となり、フィッシャ・リンパ法の規定で8年間の出馬禁止となるのを避けるために職を辞し、出馬したと主張していた。
パラナ州選挙地域裁はこの訴えを却下。選挙検察のパウロ・ゴネット・ブランコ副長官もデルタン氏に有利な見解を示していた。
だが、TSEが同件に関する上告を受け付け、16日に判事投票を行ったところ、7人の判事全員がデルタン氏の出馬登録無効に投票。これで、下議としての議席剥奪も決まった。この展開は当初の訴訟プロセスからすると急転したため、驚きを持って迎えられた。
デルタン氏は結果を受け、「これは自分に対する政治的報復だ。自分に投票してくれた34万4917人のパラナ州民や全国の人の声が無視された」と憤りを示した。同氏はパラナ州でトップ当選を果たしていた。
デルタン氏の存在を有名にしたのは、パワーポイントを使い、ペトロブラスの全ての贈収賄工作の元締めとなっていたのがルーラ元大統領(当時)だと説明した、2016年9月の記者会見だ。これを契機として、ルーラ氏は2審でも有罪判決となり、2018年4月から1年半ほど刑に服していた。
だが、今回の投票では、最高裁のカシオ・ヌーネス判事や、高等裁のカルロス・ホルバック、セルジオ・バーニョス両判事と、いずれもボルソナロ前大統領が推薦した判事も参加していたことからも、今回の投票結果は意外なものとして受け取られている。
デルタン氏の罷免は直ちに有効とされ、同じ政党から出馬したルイス・カルロス・ハウリー氏が補欠から繰り上げで下議となると見られているが、同氏は得票数が規定に満たないため、自由党(PL)のイタマル・パイン氏が下議となる可能性もある。
デルタン氏は最高裁に上告できるが、今回の投票では既に兼任の最高裁判事3人が罷免賛成に票を投じていることから、逆転は絶望的とも見られている。