ブラジルコストは1・7兆レ=GDPの19・5%占める

企業家達の民間団体「競争力のあるブラジル運動(MBC)」が商工サービス開発省(MDIC)やジェツリオ・ヴァルガス財団と提携して行った調査によると、生産部門のブラジルコストは国内総生産(GDP)の19・5%相当の年1・7兆レアルだったと17日付オ・グローボサイトなど(1)(2)(3)(4)(5)が報じた。
「ブラジルコスト」とは、税務、運送、許認可、労務問題など、ブラジルで事業展開する企業が直面する特有のリスクや費用のことだ。
19年の初回調査時は1・5兆レアルでGDPの22%だったから、生産部門がビジネスを展開するための経費は増えたが、インフレ率やGDP成長率も加味した比率はやや低下した。だが、競争力に対するネガティブな影響は今も、経済協力開発機構(OECD)諸国より大きい。
MBC顧問のロジェリオ・カイウビ氏によると、比重が大きかったのは人的資本だ。ブラジルの労働者は熟練度が低く、同項目は全体の約20%相当の3350億レアルに及んだ。同氏は、ブラジルの技術教育の普及率は11%未満だが、ドイツでは45%であることに言及。質の高い教育を受けていない労働者は技術習得や資格取得のための時間や資金が必要とし、ブラジルの教育の質の低さや技術や知識を持つ労働者を得ることの難しさを示唆した。
また、ブラジルは高等教育を受けられる人が少なく、年3・5~4%の成長に戻った場合、生産部門では技術や知識を有する労働者が不足するとの見解も表明した。ブラジルの経済活動の40%は非正規労働者が担っている。
インフラ関連のコストは約15%にあたる2720憶レアルだった。ブロードバンド利用者は約30%増えたが、2年前に発足した国家物流計画は、道路や鉄道の整備、水運比率増加などのプロジェクトの多くが実行できておらず、物流コストはほぼ横ばいだった。
税金の計算と支払いには62日を要し、OECD諸国の6日の10倍強だ。ブラジルの税制は複雑で、計算を間違えて罰金を科せられたりする企業も多い。企業が払う税金や罰金は16・5%相当の2910憶レアルで、税制改革が急がれる。
専門家は官民共同でブラジルコスト削減に取り組むことを支持。現政権はMDICに競争力・規制政策局を創り、26年までに実施すべきブラジルコスト削減計画策定作業を推進中だ。同局は4~6月に公開協議を開催中で、下半期には計画案を提示する意向だ。