サンパウロ市=路上生活者2人が不審死=外傷なく、凍死の可能性

寒波が入り、気温の低下が著しいサンパウロ市で路上生活者2人の遺体が見つかり、凍死が疑われていると30日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
路上生活者の支援活動を行っているジュリオ・ランセロッチ神父によると、死者の一人は29日に路上生活者用の避難所から500メートルの所で見つかった。
同神父は30日に、この避難所は市職員などが連れてきた人や、そこへ行くよう指示された人だけを受け入れており、支援・救助活動を行っているスタッフが見つけることができない人は寒さに震えながら夜を過ごすと指摘。軍警が見つけた時、路上生活者は既に死亡していたと自らのSNSに投稿した。この投稿には、「この冬はいったい何人が亡くなるんだろう。昨日が1人、今日も1人」と書き添えている。
同神父が「今日も1人」と記載したのは、モオッカ区タクアリチンガ街で30日午前4時55分に遺体で見つかった路上生活者のことだ。同市保安局によると、遺体には暴行された跡はなく、死因不明の不審死として記録されたという。
リカルド・ヌネス市長は30日、死亡した路上生活者2人に対する哀悼の意を表すと共に、2人の死因はまだ特定されていないと述べた。また、市役所では寒さ対策として、避難所の準備や毛布の提供といった、あらゆる作業を行っているとも語った。
同市の支援・社会開発局は、寒さ対策が始まった4月30日から5月30日までに声をかけたりした路上生活者は延べ6万450人で、1万4631人が避難所(収容施設)に入ったことや、同期間中に配布した毛布は3万5328枚、食品は20万7890点(スープやパン、ホットチョコレート、お茶、水)で、インフルエンザと新型コロナ感染症に対するワクチンも1489回分を提供したことを明らかにしている。同局によると、路上生活者用の避難所は延べ2万3千人が収容できるという。
気候緊急管理センターによると、30日未明の同市の平均気温は15度だった。