児童労働=1~4月に702人を救出=家禽屠殺で週7日働く例も

労働省が12日、ブラジルでは1~4月に児童労働とみなされた子供と青少年702人が救出されたと発表したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。12日は世界とブラジルの児童労働反対デーだ。
救出者は13歳以下100人(14%)、14~15歳189人(27%)、16~17歳413人(59%)で、男子562人(80%)、女子140人(20%)だ、
救出者最多はエスピリトサント州で、15~17歳で38人。以下、ロライマ州は13~17歳で23人、アラゴアス州は9~17歳で19人、セアラー州は15~17歳で14人救出された。
救出された子供や青少年が多かった経済活動の内容は、自動車やオートバイの販売・修理、宿泊施設、食品サービスだった。
国際労働機関(ILO)ブラジル事務局長のヴィニシウス・カルヴァリョ・ピニェイロ氏は、新型コロナのパンデミックで生じた経済危機と遠隔教育政策実施が困難な地域での学校閉鎖の2要因が、児童労働増加に拍車をかけたとしている。
労働省児童労働根絶のための国家査察調整業務担当のロベルト・パジーリャ・ギマランエス財務調査官も、コロナ禍で児童労働が増えたと語っている。
児童労働では、信号での商品販売のように家族のために働く例もあるが、子供が搾取されている例もある。優先的に取り締まるのは後者で、建設現場で働いたり、売春させられたりしている例やアルコール飲料販売のような違法行為を強要されている例、製材工場のようにリスクが伴う仕事など、搾取状態に置かれた子供やハイリスクの場所で働く子供の救出を優先している。
12日付G1サイト(2)が報じた、サンパウロ州の家禽の屠殺場で月~日曜日の週7日間、食事や休憩のための時間もなく働かされていた少年も奴隷労働の一例だ。少年は2022年5~12月に食肉加工会社で働いていたが、月~土曜日は14~21時、日曜日は7~15時に、食事や休憩の時間もなく働かされていた。休みは月1度、日曜日に与えられていたという。
この会社は雇用契約も結ばず、1最低賃金未満の給与しか払っていなかった。また、刃物を使ったりするのに最低限の安全策も取られていなかった。
当時15歳だった少年は12日、本来受け取るべき賃金や時間外労働分の残業代、2023年1月までの事前通知分で、計1万3千レアルを受け取れることになった。同件担当のフェルナンダ・ベゼラ・テイシェイラ判事は、「未成年者から幼少期、家庭生活、適切な就学援助を奪った」と判決文に記した。
労働法では、14~16歳の青少年は1日6時間まで働く若手見習いとして登録することができる。
12日付アジェンシア・ブラジル(3)によると、同日は児童労働撲滅国家委員会(Conaeti)が再発足。委員会は連邦政府や労働者、企業家、民間団体、司法機関、国際機関などの代表からなり、児童労働の予防と根絶のための国家政策や児童労働に関する国際条約の適用を監視すると共に、問題解明のための調査や研究、キャンペーンの展開を提案できるという。