Selic=維持、8月下げも示唆せず=期待裏切られた政財界反発

中銀通貨政策委員会(Copom)が21日に経済基本金利(Selic)を年13・75%で据え置くことを決めたが、その後の会見でも8月からの金利引き下げ開始を示唆する発言はなく、政財界の反発が強まったと22日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)が報じた。
Selicが7会合連続の据え置きとなることは以前から予想されていた。だが、会見の内容はこのところより強まっていた8月から金利引き下げとの連邦政府や市場の期待を裏切り、予想以上に厳しい見通しとなった。
Selicは経済を活性化させたい時には引き下げられ、インフレを抑制したい時には引き上げられる。前者の一例は、コロナ禍で冷え込んだ景気を回復させるため、2020年8月に実現した、1986年のSelic制定以来という2%の低率となった時だ。
だが、その後のインフレ高進で、2021年3月からは0・75ポイント(以下P)、1P、1・5Pと引き上げが継続。昨年も1P2回と0・5P2回と引き上げが続き、8月以降は金利が高止まりしている。
金利が高いと返済金利も高くなるため、融資やローンの利用が難しくなり、消費・生産活動が抑えられる。これはインフレ抑制にはプラスだが、景気回復にはマイナスだ。
13・75%という金利の長期化と食料品や燃料の価格低下でここ2カ月間はインフレが鎮静化し、5月までの12カ月間の広範囲消費者物価指数(IPCA)は3・94%に低下。中銀の経済動向予測調査でもインフレ予想値が5・12%に下がり、減産・減収に悩む企業家や景気回復を促進したい政府関係者はSelic引き下げへの期待感と中銀への圧力を高めていた。
だが、Copomは現実のデータや今後予想されるインフレ圧力などを優先し、8月会合での引き下げの可能性への言及を避け、忍耐も求めた。
市場や政界の反応は否定的で、XP社のエコノミストのロドルフォ・マルガト氏は、「委員会は次のステップは経済指標の推移次第であることを明確に示した」「利下げへの扉は開かれているが、その幅は大きくない」と評価。ルーラ大統領は、高金利維持は「ブラジル経済に対する戦い」「今日中銀と戦っているのは全国工業連合や小売業者、中小生産者などのブラジル社会」と述べ、ミリアン・レイトン氏も「6月だけでなく8月も金利据え置きの見通しを示唆したことは間違い」との見解を表明した。
21日は12万421Pに達したサンパウロ平均株価指数は、22日は低下に転じ、13時24分現在は1・65%減の11万8434Pとなっている。