パリ協定後に森林伐採倍増=土中のCO2の維持も必要

ブラジルの森林伐採量は増えており、2022年の伐採量はパリ協定採択当時の倍以上と27日付フォーリャ紙サイトなど(1)(2)が報じた。

パリ協定は2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択され、145カ国が署名し、翌年発効。他方、22年のブラジルの森林伐採量は15年の8288平方キロを113・8%上回る1万7726平方キロに増えている。
これは、非政府団体の世界資源研究所(WRI)が27日に発表したグローバル・フォレスト・ウォッチ(GFW)の結果だ。
森林伐採はブラジル最大の温室効果ガス排出源で、15年のブラジルでの森林伐採量は世界全体の28%だったが、22年の伐採量は全世界の43%に増えた。
ブラジルWRIは、15年以降の森林伐採増加は国の政策の影響もあるとし、22年の実績は2005年以降に記録された森林火災とは無縁の森林破壊としては最大規模だったと報告。ブラジルに続く伐採国と面積は、コンゴ5127平方キロ、ボリビア3856平方キロ、インドネシア2300平方キロなどで、22年の地球の森林面積は15年より9・7%減少した。
ブラジルの22年の森林伐採量は前年を14・4%上回り、1・2億(ギガ)トンの温室効果ガスを排出したと指摘。この量は二酸化炭素(CO2)換算で、化石燃料による温室効果ガス排出量の2・5倍だ。アマゾンの森林喪失は高速道建設や牧場開発の盛んな西部中心に加速している。
WRIは、既存の農牧地を持続可能な方法で使い、浸食した土地の回復やバイオ経済への投資、低炭素技術導入などに努めれば、森林を破壊しなくても、クリーンエネルギーを使うアグロビジネスなどで全部門の経済活動成長が可能とも指摘。この場合、2050年までの法定アマゾンの国内総生産(GDP)は現行の生産活動を続けた場合を400億レアル上回るという。
これは、土地の効果的な利用とエネルギー生産、農牧業、広大で強大なバイオ経済などが前提で、法定アマゾンだけで31・2万人の雇用を創出できるという。ルーラ大統領はパリでも、伐採しなくても農業生産は増やせるとし、アマゾンの伐採ゼロ化を強調した。
21日付アジェンシア・ブラジル(3)は、ブラジルの土壌は21年現在で約70年間分の温室効果ガスにあたる375億トンのCO2を貯蔵しているという記事を掲載。タシアラ・ズボロウスキー・ホルスト教授は、大量の炭素を貯蔵している土壌を農業に使用したり、牧草地に転用したりすると、この炭素が大気中に放出される危険性があると警告している。