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過剰在庫に悩む自動車業界=政府の支援策も焼け石に水

2023年7月1日

購入者を待つ新車の列(©Marcello Casal Jr./ABr)
購入者を待つ新車の列(©Marcello Casal Jr./ABr)

 【既報関連】連邦政府が大衆車への減税措置を施したことで、買い替えなどを考えていた消費者による乗用車の購入が進んでいるが、専門家は今回の措置は短期的な効果しか生まず、自動車業界が抱える過剰在庫の問題は解決できないと見ていると6月29日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
 連邦政府は同大衆車購入奨励プログラムに対し、すでに約5億レアル分の財源を割り当てていたが、30日付アジェンシア・ブラジル(2)によると、ルーラ大統領は30日の内にさらに3億レアル分増額する暫定令に署名する意向で、合計8億レアルになると報じられている。
 従来の販売価格が12万レアル以下の乗用車に対する課税率を燃費の良さや大気汚染の度合いなどに応じて引き下げ、小売価格を抑えることで自動車販売を促進しようという政策は好評で、実施直前には購入予約していた分を解約し、より安い価格で乗用車を購入する人まで出た。
 6月20日、同28日付アジェンシア・ブラジル(3)(4)によると、業界も対象車種を増やしたりして販売増に努めたため、連邦政府は6月20日に個人が購入する乗用車への減税措置を15日間延長した。また、財務省は6月28日に、自動車購入推奨プログラムを再延長することを発表。これにより、レンタカー会社などの企業による購入への割引期間も延長された。
 個人購入の乗用車に限定した割引購入期間は6月21日で終了しており、現在はトラックやバスの購入にも減税による割引措置が適用されている。
 ただ、連邦政府が予定していた個人向けの乗用車に対する減税分補填用のクレジット5億レアルは6月28日までに84%の4・2億レアルを費やしており、申告分を使い果たした企業も出ている。
 フォルクスワーゲン(VW)はその一例で、6月28日付アジェンシア・ブラジルなど(5)(6)によると、6月27日に国内2工場(サンパウロ州のタウバテ工場とパラナ州のサンジョゼ・ドス・ピニャイス工場)での生産を停止した。サンパウロ州サンベルナルド工場も7月に生産を停止する。
 同社によると、これは市場の停滞と過剰在庫が原因だ。同社は6千万レアルのクレジットが承認されていたが、この分を使い果たしても過剰在庫という問題を解決できなかった。
 同様の状況はGMでも起きており、6月27日付G1サイトなど(7)(8)(9)によると、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス工場の従業員達は6月27日に一時的な雇用契約停止(レイオフ)に応じることを決めた。1万2千人を対象とするレイオフは7月3日から最大10カ月間続く予定で、この間の生産活動は1班だけで続ける。GMへのクレジットは2千万レアルだった。同社も販売低下をレイオフ採用の理由としている。


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