小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=22
「らしいな。モジアナ地方からきた男の話では、町の出口に塹壕など掘ったが、政府軍の飛行機に襲われ、耕地の監督のラッパの合図で革命軍はコーヒー樹の下にもぐり込んだという。義勇兵の口ぶりだった。革命の首謀者も奥地に潜行中と言う。その男もあいそをつかして逃げてきたらしい。色の黒い体格のいい奴だったが、根は意気地なしみたいに見えた」
「それでサンパウロ州はどうなるの」
「政府軍が和議提案を申し出ているらしいから、それを受諾するんじゃないか」
「それで、革命は終るの」
「だろうよ、俺にもよく解らんさ。それより、俺いいものを奢るよ」
隆夫は、近くのコーヒー樹の下から黄...
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