選挙違反恩赦法案を提出=前大統領やデルタンに恩恵か=必要署名257人分中50人のみ

3日付エスタード紙など(1)(2)(3)によれば、ウビラタン・サンデルソン連邦下議(自由党・PL)は6月30日、2016年以降に犯した全ての選挙違反への恩赦法案を提出した。これには選挙高裁(TSE)によるジャイル・ボルソナロ前大統領(PL)の被選挙権剥奪判決も含まれる。この法案を緊急動議にするためには連邦下議50人の署名が集まっているが、必要数には遠く及ばないのが現状だ。
サンデルソン下議は同紙の取材に対して「2回の大統領選挙で計1億2千万票を獲得し、犯罪を犯していないにもかかわらず沈黙させられている人物に対する不公平を回避する義務がある」と前大統領を弁護した。同時に「下議弾劾や被選挙権剥奪の決定は、連邦議会の主権的決定でなければならない」と主張している。
だが、この法案を緊急動議にするには下議257人の署名が必要だ。すでに署名した50人の他、22人の下議が支持を表明しているが、まだまだ足りないというのが現状だ。
恩赦の付与は大統領と連邦議会の両方の特権として憲法に規定されている。だが、サンデルソン下議が提出した法案は司法への介入という形になるので、専門家らは違憲とみている。この法案が承認されれば、過去7年間に選挙高裁が下してきた判決が取り消されることになる。
ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)教授のエドゥアルド・グリン氏は、この法案は政治的論争の道具であるとし、「この法案はすでに死んでいる。承認される確たる条件もない。ボルソナロ氏を支持する過激派勢力を維持し、彼が有罪判決以前から主張していた被害者意識という言説を助長するためのものだ」と批判した。
もしこの法案が通れば、5月16日に選挙高裁によって下議資格を剥奪されたデルタン・ダラグノル氏(ポデモス)も恩恵を受けることになる。
なお、今回提出された法案では、職責や地位などを悪用する行政上の不正行為による資産増加や、行政や公共資産に損害を与えるような犯罪、裏帳簿(カイシャ2)使用などは恩赦の対象外となる。また、麻薬売買や虐待、人種差別、職権乱用、資金洗浄、通常の裁判所が扱う犯罪も対象外とされており、法案が承認されたとしても、適用範囲には限界がある。