site.title

小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=25

2023年7月7日

 縄煙草をくゆらせながら八代は言った。
「海興会社の宣伝文句みたいですな。が、わしにはお先真っ暗ですわ。どんな希望が持てますか」
「それは徐々に体得すっとですばい」
「ミソもクソも一緒くたにされる人間関係に、辟易してまんねが」
「そこが面白いとですたい。過去の肩書きなんか全部捨てて、一介の労働者として働く。中には肩書きにこだわる人もいるけど……そうだろう、巡査部長」
 八代はろれつが怪しくなっている。
「部長ではありませんよ」
「軍隊では除隊すれば一階級昇級するでしょう。あれと同じで、ブラジルへ移住すると、みんな適当に格上げしよるたい」
 二人はとり...
会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=25 | 南米の鼓動をキャッチ! ブラジル日報