北東伯=セルトンで食糧生産計画=気候変動適応、国連提携

社会経済開発銀行(BNDES)が18日、国連国際農業開発基金(IFAD)と共に、北東部の半乾燥地域4州の農業生産者25万世帯を対象に、食の安全保障のためのプロジェクト開発と気候変動への適応を図る「セルトン・ヴィヴォ」と称するプログラムの公告を行ったと同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。

「セルトン」はブラジル北東部の内陸部に広がる半砂漠地帯だ。その大半が「カアチンガ」と呼ばれるブラジル独自の乾燥地帯で、全国土の11%、北東部の7割を占める。この場所を農地化できれば、農業界の大変革になると期待されている。
北東部9州の知事が集う団体「コンソルシオ・ノルデステ」本部での公告にはアロイジオ・メルカダンテBNDES総裁とアルヴァロ・ラリオIFAD総裁、パウロ・テイシェイラ農業開発・家庭農相、リオ・グランデ・ド・ノルテ州のファッチマ・ベゼラ知事が出席した。
ラリオ氏によると、同プログラムの対象は伝統的コミュニティや先住民族も含む家族農で、8万4千ヘクタール、約100万人に対応。対象者の4割は女性、5割は若者で、農業生産システムの回復力向上と水資源保護、劣化した生態系回復のための訓練を受ける。
同プログラムで選ばれるプロジェクト四つは、BNDESへの返済義務がある支援と返済不要で投資に使われる資金による支援を受ける。後者では、家庭排水の処理と再利用のための貯水槽2万1千個とユニット1万6千個を設置する。
今回の対象は4州のみだが、メルカダンテ氏は将来的に9州全体に拡大する意向だ。
資金の中心はIFADからの1・295億ドル(約6・3億レアル)で、4州とBNDESが出す7300万ドル(約3・504億レ)を加えた総計は約10・5億レとなる。
IFADは開発途上国などの温室効果ガス削減や気候変動の影響への対処を支援するための緑の気候基金(GCF)が提供する低金利の資金を使って活動している。
ラリオ氏は、気候変動で脅かされているブラジル独自の生態系カアチンガの保護は重要で、半乾燥地域開発のためにBNDESと提携できることを喜んでいると発言。同プログラムはカアチンガの重要性を国際的に知らせるものになるという。
メルカダンテ氏はこの取り組みは「北東部の農村地域における気候変動レジリエンスの種蒔きプロジェクト」で、農村部の貧困や飢餓と戦うというブラジルの運営モデルを国際機関に拡張する先駆者的なものになると評価。
テイシェイラ氏は、IFADとの提携は気候変動への取り組みを学ぶ機会で、カアチンガでの経験豊富なコンソルシオにIFADの支援が加われば、健康的な食料を生産する再生可能な農業が飛躍的に伸びると発言した。
ベゼラ氏はBNDESやIFADとの提携は新たな状況に光を当て、方向性を示すと評価。地方生産者への資金移転は4州の判断に委ねられる。