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基本金利=予想超える引下げに政府好感=0・5%P低下で13・25%=下げ基調で来年末9%説も

2023年8月4日

Selicの動向を示すグラフ(2日付G1サイトの記事の一部)
Selicの動向を示すグラフ(2日付G1サイトの記事の一部)

 中銀の通貨政策委員会(Copom)が2日、経済基本金利(Selic)を0・5%ポイント(P)引き下げて、年13・25%としたと同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。

新理事2人も加わったCopom(Raphael Ribeiro/Banco Central)
新理事2人も加わったCopom(Raphael Ribeiro/Banco Central)

 2020年8月以来のSelic引き下げは連邦政府や市場も期待していたが、引き下げは0・25%Pから始まると考えていた人も多く、Copom内でも0・25%Pか、0・5%Pかで意見が二分。2日付G1サイトなど(3)(4)によると、最後はカンポス・ネット総裁の票で0・5%Pに決まったが、引き下げ率や決定までの経緯が知れると、驚きの声や政府の圧力に屈したとの批判も出たようだ。
 他方、2日付アジェンシア・ブラジルなど(5)(6)(7)(8)(9)によると、同日朝のラジオで最大0・75%Pの引き下げの余地があると語っていたハダジ財相は、0・5%Pの引き下げ決定後、引き下げはブラジルの経済救済を意味し、連邦政府が正しい方向に進んでいることを示すと評価。
 同相は、Selic引き下げは税収減が起きている中での出来事で、歳入面で公的会計を助けるし、他の金利も下がるため、持続可能な成長をより容易にする、引き下げは連邦政府と中銀との対話の結果とも語った。ただし、政府の介入や圧力を疑う声に対しては、ネット総裁はブラジルの現状を十分に承知しており、彼の票は経済データと専門家としての知識や経験に基づくテクニカルなものとした。
 2日付アジェンシア・ブラジルなど(10)(11)(12)によると、ハダジ氏がいう他の金利低下には公的銀行の貸付金利やクレジットカードの繰り越し返済時の金利などが含まれる。連邦貯蓄銀行とブラジル銀行がCopomの会合直後に、年金生活者への天引き融資などの返済金利引き下げを発表したのは一例だ。
 だが、全国経営・財務エグゼクティブ協会は同日、クレジットと分割払いは少し安くなるが、長期返済の借り入れの場合、基本金利と長期実効金利の差が大きく、新規の借り手は金融緩和の効果をほとんど感じないだろうとの見解を表明した。
 2日付アジェンシア・ブラジルなど(13)(14)によると、産業界は金融市場とは逆に、金利の下げ幅は不十分としながらもSelic引き下げを歓迎。ロブソン・アンドラデ全国工業連合(CNI)会長は「インフレ抑制プロセスを損なうことなく、産業と経済の更なる減速を回避できる正しい決定だ。インフレ見通しは引き続き低下傾向にあるし、最近の為替レートの上昇もインフレ抑制にプラスに働いている」と述べている。
 サンパウロ州工業連盟(Fiesp)も金利引き下げを歓迎したが、利下げ後も実質金利は世界でも上位にあり、利下げ効果は大きくはないし、半年から1年程度との見解も表明。製造業界には農業などのような低金利の融資がないことにも苦言を呈している。
 2日付G1サイトなど(15)(16)(17)(18)によると、連邦政府や産業界では、今回のSelicの引き下げ幅が当初の予想を上回ったことから、今後も同程度の幅の引き下げが続き、今年末は11・75%、2024年末には9%かそれ以下となる可能性を示唆する声も出ている。
 他方、2日付G1サイトなど(19)(20)によると、予想以上の幅の引き下げが行われ、今後も急速に金利が下がる可能性があることに戸惑っているのは投資ファンドなどの利用者だ。市場関係者は今回の引き下げは先物取引にも読み込まれていたとしているが、引き下げ加速で投資ポートフォリオの調整が遅れる事態も起こり得る。


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