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山本喜誉司氏の遺徳偲び墓参=東山農場農業研修生の集い

2023年8月5日

東山農場内の記念碑前で写真におさまる出席者
東山農場内の記念碑前で写真におさまる出席者

 東山農場農業研修生の集いが7月30日、サンパウロ州カンピーナス市の東山農場で開かれ、晴天に恵まれた中、元研修生やその家族など約60人が一堂に会した。本来なら2020年に渡伯60周年を記念した「集い」を行う予定だったが、コロナ禍の影響で今回に延期となった。さらに、第4代農場主だった岩崎透氏が今年6月に亡くなったため、当初の予定より縮小して開催。当日は同研修制度を推進した故・山本喜誉司氏の子孫らも出席し、当時の思い出などを語り合った。

 同制度は、ブラジルでの農業指導者育成を目的に1958年に開始。62年まで3期にわたって計60人の若者が海を渡り、東山農場で講習や実習を行った。
 同日午前10時半からは、カンピーナス市内にあるサウダーデ墓地で山本喜誉司氏の墓参が行われた。元研修生をはじめ、その家族や山本氏の孫に当たる山本マルタ文(ふみ)さん(65歳、3世)ら親族のほか、山下譲二・リジア夫妻などブラジル日本文化福祉協会関係者も出席。参列者はそれぞれ、白い菊の花を献花した。
 マルタさんは墓前で「最初(1期生)の研修生がブラジルに来て65年の月日が経ちますが、今日は天気にも恵まれ、皆様にこうして集まってもらって本当に嬉しいです。心から感謝申し上げます」と謝辞を述べた。

墓参するマルタさん(左端)ら山本喜誉司氏の子孫
墓参するマルタさん(左端)ら山本喜誉司氏の子孫

 また、進行役をつとめた2期生の本橋幹久さん(87歳、鳥取県出身)は「山本喜誉司さんは我々研修生にとって、ブラジルでの第2の人生の出発点を作ってくれた人。『ブラジルの父』と言ってもいい」と語り、故人を偲んだ。
 参列者一行は東山農場に場所を移し、2010年の渡伯50周年を記念して農場内で落成された記念碑前に集合。計60人の研修生のうち現在35人が他界し、ブラジル在住者17人、日本5人、米国1人、フランス1人、行方不明1人であることを本橋さんが現状報告した。引き続き、パラー州ベレン市から出席した2期生の山中正二さん(85歳、岩手県出身)が亡くなった研修生の名前を一人ずつ読み上げた後、全員で黙とうを捧げた。
 午後1時からは、農場内のオープン・スペースで昼食会が行われた。乾杯の後、出席者たちは食事の合間に、研修生当時の思い出や現状などをそれぞれ発表。和気藹々(あいあい)とした雰囲気の中で、楽しいひと時を過ごした。
 東山農場社長の藤沢マウロさんは、山本喜誉司氏の思いにより、同農場に60人の研修生を受け入れたことや、6月に亡くなった岩崎氏のことなどを語り、「このイベントが出来たことを心から嬉しく思います」と祝辞を述べた。
 その後、この日に参加した元研修生たち6人が記念のケーキカットを行い、全員で記念撮影をして「集い」を締めくくった。


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