ジカ熱=全国の感染者43・8%増加=南東部では1633%の激増

21日付G1サイトなど(1)(2)(3)が、1月~7月8日に報告されたジカ熱感染者数は7093人で、5910人だった昨年同期を43・8%上回ったと報じた。
感染者最多は南東部の4073人で、235人だった昨年同期比で1633%増。2位は北東部の2937人で、こちらは4890人だった昨年同期比で40%減った。
他方、21日付アジェンシア・ブラジルなど(4)(5)(6)は、7月8日時点の数字は7093人で前年同期比で20%増、感染者最多は南東部で11・7%増と報じている。
ジカ熱はデング熱、チクングニア熱同様、ネッタイシマカが媒介する。ジカ熱は疑似症と判断された時点で報告義務が生じる。これら3種の病気を扱うアルボウイルス緊急オペレーションセンタ―(COE)は6月まで、デング熱とチクングニア熱の患者数と死者数が多かった11州で支援活動を実施。保健省は殺虫剤や幼虫駆除剤の購入、診断キットの配布、医療専門家の訓練に8430万レアルを投資してきた。
保健省によると、COE解体はアルボウイルスの感染が減り始めたためで、ジカ熱感染者は4~7月に87%減ったというが、G1サイトなどの数字との差については説明がなされていない。
ジカ熱の主症状は発熱や目の充血、発疹、かゆみで、デング熱に似ているが、妊婦が感染すると、胎児に小頭症、石灰化を伴う脳萎縮、網膜の変化、初期の筋緊張亢進、股関節などの間接の整形外科的変化等が起き得る。
発熱時の治療は水分と休養を取ることが原則だが、アセチルサリチル酸を含む薬剤は出血を引き起こす可能性があり、避けた方がよい。感染防止には虫よけよりも、ボウフラの発生源のたまり水をなくす方が効果的だ。
ブラジルでは2015~16年にセアラ州などでデング熱が流行。2022年11月3日付ジアリオ・ド・ノルデステ(7)によると、2016~17年には同州だけで106人の小頭症児が生まれたが、2018年~2021年8月はジカ熱故の小頭症児誕生例はゼロだ。
22年10月22日現在のセアラ州の感染者は妊婦5人を含む27人だった。神経遺伝学者のアンドレ・ペッソア氏は、妊婦の感染率減少は出産適齢期の女性の大半が既に感染し、免疫を得たことが原因と見ているが、それは新たな感染者が発生しないという意味ではないと警告。同州では、妊婦のジカ熱感染が判明したら出生前のケアとして参照保健施設が紹介され、子供も早い時期から神経科医のケアを受ける。
そういう意味で、今年は南東部で感染者が激増しているのに北東部では減少していることの説明の一つは、北東部では免疫を持っている人が増えていることだ。もちろん、ボウフラの発生を防ぐ工夫なども奏功しているはずだが、集団免疫の効果も否定できないようだ。