site.title

小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=52

2023年9月16日

 この農場主のフォンセッカはシャンテブレー耕地の監督とも親しいということだった。後で考えたことだが、馬車が通りかかった、人手が不足している、空家がある、ということは、俺たちの追放は前以ってこの男との間に連絡があって、この農場へ連れてこられたように取れぬこともなかった。ま、そこまで詮索しなくても、生活を保証してくれたのだから感謝している」
 隆夫は、複雑な笑いを浮かべながら、馬の手綱をとって二人の娘と歩調を合わせた。
「捨てる神あれば、また拾う神あり、ってことね。でも良かったじゃないの」
「農場の一部をまかせられていてメイア(採れたコーヒーを農場主と折半する農法...

会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...