伯米首脳=労働者擁護で共同声明=組合運動の強化を模索=アモリン「具体案ない」

20日、ルーラ大統領はニューヨークでバイデン大統領と首脳会談を行った。この会談で両大統領はベネズエラやハイチの問題などについて話しあった後、両国の労働者の権利に関する共同声明を発表した。20日付フォーリャ紙サイト(1)やG1サイト(2)が報じている。
伯米の首脳会談はニューヨークでの国連総会の合間を縫い、現地時間の昼過ぎに行われた。
両大統領はまず、「ベネズエラに民主主義を取り戻す」ことについて話し合った。バイデン大統領は「ベネズエラ国民を改めて支持する」とし、同国で自由で公平な選挙が行われるかを注視する必要があると話した。そして、それができるのであれば、米国が同国に科した経済制裁もありうることを示唆した。
両大統領はグローバル・ガバナンスの改革についても話し合った。バイデン大統領はルーラ大統領が国連総会の演説で提案した国連安全保障理事会の改革に関して賛意を示し、変化の必要があるとの見解を述べた。ルーラ大統領は演説でブラジルを含む新興国を代表して、「南グローバル」の重要性をアピールしていたが、エスタード紙(3)によると、この会議でもバイデン氏に対して、BRICS諸国に対して歩み寄ることを求めている。
だが、これら2点に関し、ルーラ氏に同伴したセルソ・アモリン元外相(現国際問題担当特別顧問)は「大きな具体案を話したわけではない」としている。
さらにバイデン大統領はルーラ大統領に対し、ハイチの平和維持軍への再協力を求めた。伯国は2004~17年に派兵を行っていたが、2010年のハイチ大地震の後は弱体化していた。
アモリン氏はこれに関し、「ブラジルが再派兵を行うには、ハイチの社会と経済の開発の指針が問題となってくる」と語っている。
この会談後、ルーラ、バイデン両大統領は共同で、両国相互の労働者の見地に関する声明を発表した。そこには、会談の時から参加していた国際労働機関(ILO)のジルベール・ウングボ事務局長も立ち会った。
これは両国の労働者の権利強化を目的としたものだ。具体的には、労働者の権利に関する知識の拡大、G20や気候変動会議(COP28とCOP30)などの組織内での労働者の重要性を高める、技術協力プログラムの支援と調整、デジタル・プラットフォームを通じて働く労働者の職能向上と権利の保護、民間部門と提携しての雇用創出、労働者間での差別を撲滅し、多様性を促進していくなどとしている。
また、労働組合の権利も強化するとしている。ルーラ大統領は、「労働争議が少ないほど企業には有利として、組合を抑える考え方は間違いだ。強力な組合のないところに民主主義はない。なぜなら、労働者の権利を守るためにその代弁をするのは組合だからだ」と語っている。
ポデール360(4)によると、会談後、バイデン大統領はルーラ大統領との写真をSNSに載せ、「前回会った時、あなたは私たちには次世代により良い世界を残す義務があると言ったが、私にはこの言葉以上に同意できるものはない」とのメッセージを添えていた。