エスタード紙にハッカー攻撃=ルーラがアルゼンチン選挙介入報じた直後

エスタード紙ブラジリア支局のアンドレザ・マタイス編集主幹は、ルーラ大統領(労働者党・PT)がアルゼンチン大統領選の極右候補であるハビエル・ミレイ氏を不利な立場に追い込む目的で、アルゼンチンへ巨額の融資を承認したと同紙が報じた直後に、ハッカー攻撃の標的になった。5日付ガゼッタ・ド・ポーヴォ(1)などが報じている。
マタイス氏は4日、政府ポータルサイトの個人アカウントをハッキングされ、パスワードを変更され、所得税情報を公表すると脅された挙句に金銭を要求される被害に遭ったという。
「ルーラ氏は銀行に働きかけ、アルゼンチンに10億ドル(約1486億円)を融資してミレイ氏の進出を阻止しようとする作戦に参加した」と題する記事を掲載したため、SNS上で攻撃を受け、X(旧ツイッター)のプロフィールを削除する必要も生じた。
これを受けてブラジル政府は、ルーラ氏が融資の圧力をかけたという主張を否定し、アルゼンチンへの融資金は資金不足に対処するための「支援」であると主張した。エスタード紙の調査によれば、ルーラ氏はシモーネ・テベチ企画相に圧力をかけ、たとえ信用のない隣国であってもアメリカ開発銀行(CAF)を通じた融資を承認するよう促したとされている。テベチ氏はそれを否定したが、アルゼンチン大統領選挙へのブラジル政府の介入疑惑については否定しなかった。
また、ジョルジ・マルケス大統領顧問はSNS上で、「大手マスコミの一部」を「極右」や「憎悪を煽る集団」と発言し、政府を擁護した。同氏はまた、この報道を「フェイクニュース」と位置づけ、融資は技術的に行われたと強調したが、アルゼンチンの選挙干渉疑惑については言及を避けた。
一方、5日付エスタード紙(2)やフォーリャ紙(3)によれば、大統領候補のセルヒオ・マッサ経済相とルーラ大統領は8月、大統領選挙や融資についての会話を行ったと報じている。それらの元ネタになったアルゼンチン現地紙「ラ・ナシオン」が報じた内容によれば、この前日、輸出資金として6億ドルの追加融資について交渉するため、マッサ氏がブラジルを訪問した際、ルーラ氏はマッサ氏に対し、「右派を阻止する」選挙運動を支援するため、自分のチームからアルゼンチンに人員を派遣すると約束したという。ルーラ氏はまた、ミレイ氏は「狂人で、ボルソナロよりも悪い」と評し、「メルコスルを維持するためにマッサ氏の勝利が重要だ」と述べたという。これはマッサ氏自身が明かした情報と報じられている。