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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=63

2023年10月11日

律子への手紙
 
 しばらく御無沙汰してしまった。自活の道が拓らけてから便りするつもりでいたが、これでいいと思う生活の目途はなかなかたたない。自動車の免許をとって、現在、トラックで農作物を町に運んでいる。世界動乱の影響でガソリンが不足し、木炭ガス駆動のトラックなので、速力がでないばかりか、登り坂にさしかかると、しばらくガスを蓄え、それから馬力をかけて一気に駆け登るといった冒険をやらねばならい。時として生命がけの仕事だが刺激があって面白い。
 この朝日植民地の周囲はいくつもの日本人の集団地があって、結構仕事も多い。これで一儲けできたら町で小さな雑貨店でも開けよう...
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