小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=64
と、我々の活動を理解することもなく、むしろ嘲けられると、こちらも売り言葉に買い言葉で、祖国存亡の危機も考えず、金儲けのみに専念するようでは、いまに天誅を加えられますよ、と余計なことを言ったりもした。
「何を脅かしやがるんだ」
と、出刃包丁を振りまわす男もあった。こちらも若いから張りとばしてやりたくなるが、脇山さんから早まった行為は慎むよう指示されていたので、その都度我慢していた。しかし、双方からいつ爆発するか解らぬ情勢に明け暮れている。同行した仲間の一人は拳銃を携行したため監獄に連行された。俺の身にもいつ何が起こるかしれない。しかし、愛国の志士としてこの活動...
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